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試写会など日記 
アーカイブについて
 昨年(2004)の6月から始まった“試写会など日記”。元々はメルマを充実させるための企画として始まったのですが、今ではこれを楽しみにしていてくれる人も多いようで嬉しい限りです。率直な意見が聞けるという声もありますが(ま、そのあたりのことは担当者の心を覗かなければ判らない部分もあるのですが)、希望の多かったこの“試写会など日記”のアーカイブを月別にUPしていきますので、文体の差、手を抜いているな、あの作品をこう思っていたのか、こんな作品があったんだなどお楽しみください(原文は基本的に発表時のままです)。


■過去記事一覧

8月×日 『靴に恋して』というスペイン映画の試写。生き方、足、靴に関しても違いのあるそんな5人の女性の恋や人間関係の話が交わりながら、出来上がっていく1本の作品。チープかなという描写もあるんだけど、年齢も暮らしぶりも様々な女性たちの人生が交錯しながら、ひとつの作品として成り立っていく部分はすごくいい。良作です。ただ、個人的にはわざわざ交錯させなくても、この女性ひとりの物語でひとつの話を深めてくれればという部分を感じたのも事実。靴やファッションを期待すると肩透かしになるかもしれない。人生の物語です。

8月×日『スクール・ウォーズ HERO』の試写。知っている人は知っているあのテレビドラマで有名な作品が映画になってしまった。僕なんかはリアルで体験している世代なんで映画化の話を聞いたときに「本当か」と思いながらも「受け狙いか」と考えてしまった作品。なんだけど、実際に観てみたら、不覚にも感動してしまった。ナレーションといい、主題歌といいテレビシリーズをすごく意識した作りである。ラグビーのシーンはしっかりしているし、何のかんの言って、のめりこめるような内容になっている。ただ、しっかりとしているラグビーのシーンは興味のない向きには長く感じるかもしれないが。『スクール・ウォーズ』好きなら、観ても損はないでしょう。

8月×日 この日も試写に行くことが出来ず。結局、今週は2本か。こういうこともある。午後からは私用で疲れきる。行きたかったライブにも顔を出せず。

8月×日 韓国映画『イエスタデイ 沈黙の刻印』の試写。韓国映画は目白押しだが、思った以上に観ていないし、観ているのも話題作から外れたものが中心。この作品の位置づけもそうなるのだろう。アクションも満載の韓国初のSFブロックバスター作品なのだが、これは話がもう少しスピーディーで、ストレートなら面白くなったのになと感じた。ヴィジュアルとかは結構凝っていて、面白い。個人的にはキム・ソナがすごく良かった。

8月×日 『らくだの涙』というモンゴルのある家族とらくだの関係を捉えたドキュメント作品。ドキュメントなんだろうけど、話がうまく出来ているので、ドキュメンタリーの持つ重苦しさがない。そこにある現実というドキュメントに監督なりに物語を色付けしていったという感じなのだろうか。らくだと家族の関係もいいが、民間伝承を尊重しながらも、テレビという文明の利器にあこがれる子供の様子などが面白い。最後のシーンにはちょっとびっくり。モンゴルのパオの生活が覗けたり、ちょっと前の日本の家族もこうだったんだろうなと感じたり、いい作品です。

8月×日 昼から『リバイバル・ブルース』の試写。内藤剛志、奥田瑛二、桃井かお りという役者の持ち味が存分に出た作品。ということはどこか70年代的なテースト を感じさせる作品でもあるんだけど。70年代にバンドを組んでいた仲間が30年という時を経て、再びバンドを組むことで再会を果たす。当然そこには互いが知らない 様々な空白や人生が横たわっているわけだ。タイトルはブルースバンドを再結成するという意味合いと共に、そういった人生のブルースを再会により味わうということも込められているんだろうな。ブルースを悲しみとは単純に受け止めず、音楽の ルースのフィーリングだな。映画はある程度年を重ねた人にとっては現実感を感 じる部分があると思う。僕もすごく気に入りました。桃井かおりの歌も久々に聞けたし、映画で流れるフリー系のジャズ(桃井かおりはジャズバーのママなのね)の中に昨年亡くなった大好きだった日本人のトロンボーン吹きの音が流れて、ちょっとジーンと来る。
  夜から『アトミック・カフェ』の試写。懐かしい。20年ぶりの公開とか。僕は公開後にビデオで観たんだよね。アメリカの核兵器の流れと当時、啓蒙のために流していた核が落ちたらどう行動したらいいのかという非常にいい加減な宣伝フィルム(でも当時は大真面目)をミックスした作品。これが作られた頃はまだ冷戦の最中。今回公開される理由はマイケル・ムーア(の映画の師匠だとか)にあるんだけど、僕はこれが観ることが出来て本当にうれしい。あの当時は、いい加減さに笑ったんだけど、今回は感じ方が変わり、冷戦は終わったけれども、別の意味で恐ろしさを感じてしまった。笑えるんだけど、その笑いは自分の中で完全に恐怖と結びついているんだよね。今のほうがもっとひどいかもしれないな。大傑作です!

8月×日 何の試写を観ようかとチェックしていたのだが、これというのがない。考えてみたら、お盆休みなんだよね。夜は久々に会った人とレコードを聴きながら盛り上がる。デヴィッド・T・ウォーカーの1枚目とか、コーネル・デュープリーの1枚目、チャック・レイニーの1枚目とか10年以上前に中古屋で探し、買ったフュージョンの最良の時代のレコード。久々にレコード棚から取り出して聞いたけど、素晴らしすぎ。

8月×日 『ゴールデン・カップス ワン・モア・タイム』の試写。ゴールデン・カッ プスはGSのバンド。若い世代にとってはガレージ系のバンドとして見直された部分もあるし、欧米でも熱狂的なマニアを抱えている。そんな彼らの歩みをメンバーや彼らのファン(矢野顕子や清志郎も)、仲間の証言でつづるパート(A面)と再結成ライブの模様を捉えたパート(B面)で描くこの作品、圧倒的にA面が面白い。再結成のライブもいいのだが、明らかに落ちてしまう。そのあたりをうまくミックッスして作り上げた方が良かったんじゃないかなとも思うのだが(意図は良く分かるんだけど)。それでもこの作品を観るとカップスの熱さとすごさは確実に伝わってくる。GSという カテゴリーに入れられたどす黒いバンドだったんだよね。戦後の横浜という土地が生み出した伝説のひとつだね。この映画でさらに再評価が広がるだろう。音楽、風俗ファンは必見。

8月×日 香港映画『ティラミス』。ニコラス・ツェー、カリーナ・ラム主演の本当に甘いラブストーリー。『ゴースト』に『フラッシュ・ダンス』をまぶしたような作品。軽くて甘いラブストーリーとしては悪くないと思うんだけど、個人的にはやはり甘すぎでした。
  最近、試写会など日記、手を抜いてませんかという意見が来ているらしいんだけど、 決してそんなことはないんだけど、こういう風に書くのがそう思われる原因かね。

8月×日 ヴェネチア国際映画祭でグランプリを受賞したロシア映画『父、帰る』の試写。タイトルだけで菊池寛の小説かと勝手に思い込んでいたのだが、試写状を頂いて全くの別物だと気づいた。どうしようもない。作品は12年ぶりに帰ってきた父親と息子二人の物語。キーとなるのは、息子である兄弟には父親の記憶がなく、彼が本当に父親なのかという疑問を抱いているという部分。父親と息子たちは再会した翌日に釣りをするために遠出することになるのだが、その道程は気楽なものではなく、父親の強圧さ、それに対する息子たちの反感、疑問が目立つものだった。しかも旅は父親の急な仕事とかで別の展開を伴っていくのだが、これが圧倒的な緊張感、ミステリアスさを持っていて素晴らしい。本当に父親なのか、父親の仕事とは何なのかという疑問、どんなストリーになっていくのか、どんな気持ちが湧き上がってきているのかという想像。そして、そのストーリーの緊張感を生み出す美しい映像。グーっと引き込まれるように2時間近くを体感してしまった。『息子のまなざし』に似た空気を感じる。素晴らしい作品だ。
  夜、お誘いのあった飲み会で、すごいプレゼントを頂く。本当に嬉しいです。ありがとう。

8月×日 『珈琲時光』の試写。小津安二郎生誕100年記念の作品。監督は侯孝賢。なんかこの計画が発表されたときに「なんで日本人じゃないんだ」と文句を言っていた人もいたけど、個人的には「侯孝賢いいじゃない」と思い、楽しみにしていた作品だった。作品は小津へのオマージュも感じさせるとともに、日本人ではない侯孝賢だから撮れた東京の光景があり、嬉しくなってしまった。ゆったりしたペース、淡々さなどいろんな意味で賛否両論だろうなと思うけれども、僕は好きだな。神保町、鬼子母神、高円寺。知っている店もいっぱい出てきて、実際の暮らしがそこに垣間見えるような気がした。東京をどう切り取るかという点を観るだけでも面白い作品だと思う。主演の一青窈もいいし、浅野君も相変わらずのいい味を出しています。

8月×日 うちで『MASK DE 41』と『デビルズ・バックボーン』のビデオを観る。全く違うタイプの作品だが、どちらも良く出来ているし、面白い。『MASK DE 41』は田口トモロヲが肉体改造までしてプロレスに臨んだプロレス映画。チラシや内容から「プロレスはちょっとね」と思う方も多いと思うが、それはもったいない。役者の熱演と(予算も限られていただろうが)丁寧な作りで笑わせながら、感動させる作品なのだ。最近、プロレス映画には当たりが多い。
『デビルズ・バックボーン』も単なるホラーと思うなかれ。これはスペイン内戦を舞台に戦争の愚かさ、悲しさ、恐怖を描いているのだから。ホラーが駄目という人にほど観てもらいたい作品だ。監督は『ミミック』のデル・トロです。詩的な映像が美しいので、劇場で観たほうがいいですよ。

8月×日 『トゥー・ブラザーズ』の試写。人間の手によって離れ離れになった虎の兄弟が再び出会い・・・・という話なんだけど、とにかく虎の表情と動きに圧倒されてしまっ た。可愛いし、人間より上手い。話も分かりきっているし、背景もなんだかなと思うのだが、虎が素晴らしすぎて、その辺を埋めてもお釣りが来る感じです。虎に釘付けの作品です。

8月×日 『ビハインド・ザ・サン』の試写。『モーターサイクル・ダイアリーズ』の公開も間近のウォルター・サレス監督がデビュー作である『セントラル・ステーション』の次の次に撮った作品。『モーターサイクル・ダイアリーズ』の公開とロドリゴ・サントロの出演がなければ公開されなかっただろうなという作品。代々続く隣の家との土地争い。それは1人殺されれば、1人殺すという血で血を洗う争いであったという部分から始まるこの作品、最初は「マカロニか」と思わせながらも、復讐、家という縛りを底辺に置きながら、兄弟がつかの間でも新たな道を探してい
  くという物語になっている。映像の美しさ、ちょっと出来すぎかなとも感じる文学的な物語などいい作品じゃないですか。こういう作品が公開されることは本当にうれしいです。原作もぜひ、読んでみようと思いました。豊穣ないい話だろうな。

8月×日 『ニワトリはハダシだ』の試写。京都の舞鶴を舞台に知的障害を持つ少年を主役に在日朝鮮人、警察の汚職などを取り込んだヒューマン・ドラマ。記憶力が良く、あることを記憶していたがために警察の汚職事件の犯人にされそうになる知的障害を抱える少年。彼を救おうと父や養護学校の先生、同じ町で別れて暮らす在日の母が奮闘していくという物語なのだが、潜水夫の父や在日の母など市井の人々のバイタリティーある暮らしぶりが伝わってきて、面白い。ちょっと余分かなというシーンや汚職事件の部分には弱さも感じるけど、そういった部分も原田芳雄、倍賞美津子などの役者陣の演技によって払い打ちされている。タブーに挑戦した的な言い方もされているけど、そんなのではなく、物語、登場人物もバイタリティーに満ちていているからこそ、面白いという伝え方がされるべき作品。内容は違うけど、岡本喜八の『大誘拐』を思い出してしまった。

8月×日 『くりいむレモン』の試写。エロ美少女アニメ『くりいむレモン』の実写版。世代的には当たっているんだけど、このアニメに関しては正直エロというだけで全く知らないし、興味もなかった。まだ、実写のほうがいいじゃない。でも、この作品を観たかったのは『リアリズムの宿』の山下敦弘が監督だからである。オリジナルを知らないので、オリジナルとどう違うのかは分からないのだけれども、作品は良かった。山下監督らしい独特の間に満ちているし、その間(そして長廻しの多さ)が切なさにつながってくる。DVで撮っているんだろうけど、映像に過剰なコントラストの差もないし、低予算だろうに本当に良く出来ているなと思う。『くりいむレモン』というタイトルなので、そういうファンが観にいくんだろうけど、それゆえにそれ以外のファンが遠ざかるかもしれないのは残念な気がする。

8月×日 ブルース・ムービー・プロジェクトの1本『ゴッドファーザー・アンド・サン』 の試写。ブルースの名門 チェス・レコードとそこが70年代に出した「エレクトリック・マッド」という当時はけちょんけちょんに評価された1枚のアルバム、それを再発見したヒップホップとの関係を描いた作品。チェスの歴史はもちろんだが、この作品のクライマックスとなるチャックD、コモンらのヒップホップのミュージシャンと「エレクトリック・マッド」にかかわった一流ミュージシャンとのセッションが音はもちろん、周りの雰囲気といい本当に素晴らしい。そのほかにも素晴らしいシーンが盛りだくさん。やはり、一音、一音に興奮し、感動してしまった。公開は10月下旬とのこと。

8月×日 『インファナルアフェア/無間序曲』の試写。大絶賛が相次いでいた前作『インファナルアフェア』でも描かれていたふたりの若かりし日を描いた作品。前作はタイミングが合わず、うちのHPでは取り上げていないだが、確かに面白いんだけど、そこまで絶賛するほどかなというのが個人的な感想だった。で、この第2弾なんだけども、圧倒的に面白い。話の密度、ノワール色が濃くなり、人間としてのドラマ性が深くなっている。素晴らしい。これは前作をはるかに越えてしまった。次は一体どうなるのだろうか。期待に胸を膨らませてしまう。前作を観てなくてもこれだけで納得できる作品です。これぞ、ノワール映画ですね。
  夜から『モーターサイクル・ダイアリーズ』の試写。チェ・ゲバラの青春時代の南米旅行をつづった本「モーターサイクル南米旅行日記」を映画化したもの。余計な小細工など一切なしに本のままの旅行を描いていくこの作品、前半の旅行の楽しい気分、後半の旅で知ったことから変化していく気持ちというのが本当にうまく描かれている。はじめのシーンから物語に取り込まれ、いくつものシーンで気持ちがぐーっと盛り上がってしまった。これも本当に素晴らしい作品。個人的にはここまで気持ちを盛り上げられた作品は久々だった。何度も書くけど、何の小細工もないのに、こんなに素晴らしい作品が出来るんだ。主演のガエル・ガルシア・ベルナルの演技も本当に説得力がある。彼の演技がなければ、ここまでの感動はなかっただろう。物語のテーマもこんな時代だからこそ、胸を打つものがあるんじゃないだろうか。タイプは全く違うが、こんなにいい作品を2本も観れるとはうれしいし、幸せだな。

8月×日 試写に行くつもりだったのだが、プレゼントの当選者の決定やら発送で時間がなくなってしまう。相変わらず「本当に当たっているのでしょうか」と書いてくる人が結構いる。ちゃんと選んで、ちゃんと発送していますので、安心してください。夜は自宅で人と会って、飲み会。ブラジル音楽の話やら陰謀めいた話やらで有意義な時間を過ごす。

【余談】
  この2004年8月に観た作品で最も印象に残っているのは『モーターサイクル・ダイアリーズ』、『インファナルアフェア/無間序曲』、『父帰る』、『アトミック・カフェ』と『ニワトリはハダシだ』。『モーターサイクル・ダイアリーズ』はこの年のベストのひとつでしょう。『インファナルアフェア/無間序曲』は言わなくてもいいでしょうが、3部作の中ではこれがベストだ。『アトミック・カフェ』はやっぱり大傑作だった。『父、帰る』の静謐さ、『ニワトリはハダシだ』のバイタリティーは多くの人に味わって欲しい。カップスを聞くようになったり(ディブのVOは苦手だが)、マディを久々にレコード棚から取り出して聞いたりしたのもこの頃。『MASK DE 41』、『デビルズ・バックボーン』も捨てがたい(特に後者は美しく、いい作品だ)。逆に手厳しく書くべきところをマイルドに書いてるなという部分もある。これは今も変わらないかもだが、今の方が手厳しくはなっていると思う

 

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