「フィンランドのヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」。ここでは人の交流が生まれ始めようとしていた」
ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」。日本からやって来た女性サチエが切り盛りするこの食堂には開店から1ヶ月もするのに、全くお客さんが来る気配がない。近所のおばさんたちも店をガラス越しに覗き、毎日のように噂話をする始末。サチエはおばさんたちに対しても店内からにこやかにペコリと頭を下げるが、おばさんたちはそそくさと退散してしまう。
そんなある日、ついに記念すべきお客さんが「かもめ食堂」にやって来る。それは日本のアニメーション、コミックなどが大好きなフィンランド人のオタク青年トンケ。彼は記念すべきお客さん第1号として、永遠のコーヒー無料権をプレゼントされる。そんな彼が彼女に「ガッチャマン」の歌詞は分かりますか、と質問する。彼女は出だししか思い出せなかった。
しかし、それは書店のカフェにいた「ムーミン」を読む、旅行者らしき日本人の女性に質問することで解決する。彼女の名はミドリ。フィンランドに来た理由はめくらめっぽうに世界地図を指したらフィンランドに当たったからだった。サチエはミドリを自宅に招待し、ミドリは自然と「かもめ食堂」を手伝っていくようになる。こうしてトンケが常連となり、ミドリが加わることで「かもめ食堂」には今までとは違う空気が流れ始める。 |