「自暴自棄の伝説の柔道家、彼と戦うことを願う青年、歌手を夢見る女性。彼らは出会い、お互いが持っていた、忘れていた夢に向かって進んでいく」
高層ビルが立ち並ぶ狭間にある草はら。そこでひとりの老いた男が柔道に打ち込んでいる。傍らには男の生き様のように「姿三四郎」を歌う男が立ち尽くしている。
とあるクラブ。ここで雇われ店主の男がいつものように客と一緒に飲んだくれている。彼はいつも何を飲むにも“10”を基準としている。そのクラブの入り口ではひとりの若い男が2倍以上も体格が大きい門番に対して「お前を投げ飛ばす」と金をちらつかせ勝負を挑んでいた。男は門番を軽く投げ飛ばし、勝負に勝つ。男の名はトニー、彼はこのクラブの雇われ店主であるシト・ポウに勝負を挑むことを夢としていた。ポウは絶頂の最中に引退した伝説の柔道家なのだ。でも、今のポウにはそんな面影はない。
翌日、滞納により住処を追い出された女性シウモンがこのクラブにやって来る。歌手を目指す彼女はこのクラブが専属歌手を募集していることを張り紙で見たのだった。その場にはサックスを手にしたトニーもやって来る。飲んだ暮れたままの状態でクラブにいたポウに採用されたふたりは最初の仕事としてゲームセンターへと向かう。そこでポウはヤクザから金を横取りしようとしていた。 |