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2009年12月24日 配信
全日本人がみるべき作品(90点)
『海角七号 君想う、国境の南』という映画を考えるときもっとも重要なポイントは、「この映画が台湾で爆発的にヒットした」(同国映画としては史上一位)という事実である。
ミュージシャンの夢破れ、故郷に戻ってきた青年(ファン・イーチェン)は、郵便配達のバイト中、あて先人不明郵便を発見する。それは日本統治時代の住所表記あてに送られた60年前の郵便だった。そんなある日、地元で行われる日本人歌手のコンサートの前座を頼まれた彼は、その仕事の中で知り合った日本人女性(田中千絵)にその手紙を見せる機会を得る。そして、その手紙に大切な内容が書かれていることを知る。
半ニート若者を主人公にしたユーモラスな下町人情ドラマ風に始まる本作は、まともなギタリストさえいない田舎町の急造バンドのどたばた騒動でまずは楽しませる。
いや、実をいうと、それほど笑えるわけではない。一部使われるCGも安っぽく、見ていて気持ちが萎える。また、基本的に台湾映画は、キャラの立たせ方が微妙に日本人の感覚とズレているような所があるので、不慣れな人にはとっつきにくい。
だがこの段階で、無理してでも感情移入しておくと、本作をより楽しむことができる。この映画は、中盤以降、徐々にエンジンがかかるタイプで、ラストは素晴らしいものがあるから、安心して挑戦してほしい。