60年前の悲恋。現代の淡い恋。二つの物語を結ぶのは、届かなかったラブレター。
1945年12月、日本統治時代の台湾。若い日本人教師が、恋に落ちた台湾人の教え子・日本名を友子という女性を残し、敗戦に伴い帰国することになる。船は港を離れ大洋に滑り出した。夕陽が水面を赤々と照らしている。甲板で風に吹かれながら、その教師は手紙を書き始めた・・・。
現代の台湾。台北でミュージシャンとして成功する、という夢に破れ、台湾最南端に位置する故郷・恒春(ハンチュン)に戻った青年・アガ。郵便配達のバイトに就いたものの、無気力な日々を過ごす彼は、日本人歌手・中孝介を招い行われる町興しのライブの前座バンドのボーカリストに駆り出された。オーディションで選ばれたバンドメンバーは少女から老人まで、即席の寄せ集めで練習もままならなず、マネージャーを務める日本人スタッフ・友子とも衝突してばかりだ。
そんなある日、アガは未配達の郵便物の中に、今は無い日本統治時代の住所 “海角7号” 宛の手紙の束を見つける。それは 60 年前、日本の敗戦によって台湾から引き上げる日本人教師が、愛しながらも別れなければならなかった台湾人女性に向けて船上で綴った七通のラブレターだった。
ライブの日は刻々と近づく。バンドはステージを無事務められるのか?アガは、その手紙を宛名の女性に届けることができるのか?南の空に虹がかかる時、小さな奇跡が起こる・・・。