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4月23日(土)公開の映画「太陽」の完成披露試写会が3月7日(月)、一ツ橋ホール(東京)にて開催。入江監督、原作者で映画の脚本にも参加している前川知大、W主演を務めた神木隆之介と門脇麦、共演の古川雄輝、古館寛治が上映前の舞台挨拶に登壇した。
会場には若い女性ファンが数多く駆け付け、神木らが登場すると、司会者の言葉も聞こえないほどの割れんばかりの黄色い声援に包まれ、その一挙手一投足に悲鳴のような歓声が上がる。
人気舞台の映画化という難題にチャレンジした入江監督は前川の戯曲を「10年に1本という作品」と語り、「僕自身が抱えていたテーマ、いまの世界における普遍的なテーマが入っていました。プロデューサーに話を聞いて、『ぜひやりたい!』と言い、3年かけて出来ました!」と感慨を口にする。入江監督と共に映画用の脚本にも参加した前川は「スクリーンの中に信じられる世界があります。キャストの存在感、映像の現実感――僕らが見ても納得できる作品になっています」と映画版に太鼓判を押した。
撮影はかなり過酷だったよう。神木は撮影中の苦労を尋ねられると「ホントに寒かった!」という言葉を連発! 「真冬の秩父で、古川くんとのシーンは特にダムが近くにある水辺で…本当に寒かったです!」と思い出すだけでも震えが蘇ってくるかのような強い口調で述懐する。
門脇は、寒さの上に「睡眠不足も重なった」と明かし「そうなると人間、食欲が増すようで、いつもの倍くらい食べてコロコロになりました(苦笑)。生命の危機を感じて食べ続け…完成した映画を見たらコロコロでびっくりしました」と振り返った。
古川は登壇キャストの中で唯一、太陽の下では生きられない新人類のノクスを演じているが、そのため、撮影は「夜の6時から日の出まで。日が出ている時間は起きてなくて…」と昼夜逆転生活の中での撮影に苦労したよう。そんな中でも「神木くんは『寒かった!』と言ってましたが、一番寒くなさそうで、ベンチコートも脱いでて…」と証言。感情を出すシーンでは、極寒の中でも神木は“熱”を発していたそうだが、古川の言葉に神木は「冷めるとすっごい寒かったよ!」と苦笑い。壇上で2人が会話し、見つめあうだけで、会場からは歓声が上がっていた。
古舘は、そんな過酷な環境、スケジュールの中で「監督は納得しないとOK出さないから、延々と何度もやらされて…。僕は体が丈夫じゃないし、こんなに体動かしたのは何年ぶりかという感じで、動けないときに『もう一回』と言われて死を思い浮かべました」と恨み節…。これに入江監督は「仕事ですよね(笑)? 真ん中の3人(神木、門脇、古川)の方が古舘さんより全然、動いてますけど…」と反論を繰り広げ、会場は笑いに包まれた。
作品を見ると「もしも自分だったら…?」と考えずにいられない。太陽の下を歩けないが、頭脳も“進化”したノクスと、ウイルスにおびえ厳しい生活を送りながらも昼間でも活動できるキュリオのどちらを選ぶか?と、神木、門脇、古川に質問。神木は「ノクス」、古川も「豊かな生活」を理由にノクスを選び、門脇だけは「太陽は偉大だと思うので」とキュリオを選択した。
改めて神木は「僕も台本を読んでわからないことがいっぱいだったけど、“わからない”ということも大事なことだなと思いました。ひとりひとり、別の観点で見られて、自分の中でゆっくり育っていく作品です」とアピール。
門脇も「入口はSFですが、人間の性(さが)、隠したいけど隠し切れないものが出てくる人間観察記です。見終わって苦しい気持ちになるかもしれないけど、持ち帰って、じっくり感じてください」と呼びかけ、会場は温かい拍手に包まれた。
4月23日(土)より角川シネマ新宿ほか全国ロードショー