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6月13日(土)公開、是枝裕和監督最新作「海街diary」。第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されたことを受け、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、そして是枝裕和監督がカンヌ入りし、現地時間5月14日に記者会見を実施、レッドカーペットを歩いた。その後、正式上映が行われ、上映後は日本のマスコミ向けの囲み取材を実施した。
【記者会見】
是枝監督: “小津安二郎監督の孫”と海外にくるとよくいわれますが、最高の褒め言葉とは思いつつ、こそばゆい。でも原作のドラマがただの人間ドラマというよりは、人のまわりを流れている時間を描いたものだったので、今までの作品よりは小津作品を身近に考えながら作ったのは事実です。『そして父になる』に続いての出品はすごく嬉しい。でも当たり前になってしまわないことが大切。カンヌは映画人として非常に素敵な場所なので、それをこうして一緒に来てくれた四姉妹がどう感じて、どんな経験をしてくれるかが楽しみ。メインになる四人の感情、生活表現を描いた作品。大きな時間を描きたかった。登場しない人たちの存在も感じさせることをこの作品でトライした。
綾瀬: Bon jour je suis 綾瀬はるか。古きよき日本の暮らしや移り変わる日本の四季を是非見てください。印象に残っているのは海を歩くシーン。あと、食事のシーンが多いのでよく食べていました。
長澤: Bon jour je suis長澤まさみ。女性ってすごいなって感じさせてくれる作品。印象に残ったシーンは、すずが引っ越してきてそばを食べるシーン。引越しそばは何かが始まる感じ。日本人にとって特別なことだからかも。撮影したお宅でご飯を作ったり掃除をする時間を1日もらった。少しずつ家族になってく感じがした。
夏帆: Bon jour je suis夏帆。鎌倉の美しさを監督が丁寧に描いているので、海外の方にも楽しんでもらえたら嬉しい。食べるシーンが多い。印象に残っているのは何気ない朝食シーンなど食卓を囲むシーン。
広瀬: Bon jour je suis広瀬すず。日本の四季を感じるものが沢山ある。いろんなことを感じてみてほしい。ドキドキしています。撮影で大変なことはなかった。台本はもらわず撮影していたので、何も知らずいつもフラットに撮影に望み、本当にそのときの感情を出した。こんな感情が自分にもあるんだなと思った。
【レッドカーペット】
日差しが降り注ぐ中、記者会見のときの装いから新たに、是枝監督はタキシードでビシッとキメ、綾瀬は、クリスチャン・ディオールのオートクチュールで、胸元のラインが美しい白のクラシカルなドレス、長澤は、ステラマッカートニーの深いグリーンとブルーのタイトなロングドレス、夏帆は、イヴ・サンローランの鮮やかな藍色のシックなロングドレス、広瀬は、オリジナルで水色と白のチェック柄の爽やかなシフォンドレスに身を包みメイン会場に登場した。レッドカーペットの上では、四姉妹が手をつないで横一列になって歩くなど、この映画の雰囲気をそのままにメイン会場へと進んだ。
Q:貴方の人生がこのカンヌ映画祭で変わったといえますか?
是枝監督: 映画監督としてのキャリアにとって、この場所に度々来ることができるということは恵まれた経験ですし、改めて自分が次に向かうべきことを考えていける素晴らしいチャンスをいただけていると思っています。
Q:ここ数年で自身の世界観が変化しているように思いますか?
是枝監督: 自分が父親になって子供をもったことで、自分自身の両親を思い返すときに、目線がやわらかくなったというか優しくなってきた気がしています。
Q:今回、家族の物語ということですが、四人の女優さんが四姉妹を演じるにあたり、前もって何か準備をしたことはありますか?
綾瀬: 撮影が始まる前に、四人で実際に撮影で借りているお宅を掃除したり、食事を作ったり、草むしりをしたりしました。
Q:食事シーンが多かったと思いますが、実際によく食べられましたか?
広瀬: ウィウィ!全部おいしかったです!カメラが止まっても食べ続けていて私は太りました(笑)
Q:父親は実際に映像で出てこないですが、映画の中で存在感があったと思えます。現場では監督が父親代わりになっていたりしましたか?
綾瀬: 特にすずのお父さんぽかったですね(笑)
Q:レッドカーペットを歩かれての気持ちは?
長澤: 本当に良い映画だと思えるので、たくさんの方に観ていただきたい気持ちでいっぱいです。
夏帆: 胸をはって良いと思える作品なので、こんな風にみんなとここで歩けることがすごい嬉しいです。
【上映中〜後】
2,300席が全て埋まった会場で上映はスタート。この中には女優のカトリーヌ・ドヌーヴや「アーティスト」のミシェル・アザナヴィシウス監督などの姿もみられた。上映中は、コミカルなシーンでは笑いが起こるなど温かい雰囲気に包まれ、上映後は、キャスト・スタッフに向け、スタンディングオベーションが起き、キャスト四人は、とても感激した様子をみせた。
【囲み取材】
Q:上映が終わってみていかがですか。
広瀬: 海外の方にこういった作品を観ていただいて、最後に大きな拍手をたくさん頂いて、あらためて、お姉ちゃんたちと一緒にお芝居ができたことがすごく、その作品が海外でたくさんの人にみていただけて、ここに入れて幸せだなと思いました。
夏帆: 本当に貴重な体験をさせていただいた。夢のような体験。みなさんの反応が温かくて、すごく素敵な上映だったなと思いました。
是枝監督: 今回はこの四人にこの映画祭を体験してもらいたいというのが強くあって、それが実現できたことを嬉しく思っていますし、非常に温かい笑いと拍手頂けた素敵な上映だったと思います。ホッとしています。
長澤: たくさんの人の心に何かが届いたのかなと思って、すごくうれしかったし、監督に感謝しています。ありがとうございました。
綾瀬: たくさんの拍手を温かくしてくださって、すごくうれしかったです。監督にも感謝しています。
Q.女優として将来にどう影響しますか?
綾瀬: また来てみたいなと思いました。
長澤: 昨年、今度はコンペティションで来たいなと思っていての今回の参加だったので、本当にうれしい気持ちでいっぱいですし、いろんな国の人たちと触れ合う機会の場でもあるので、何かに繋がればいいなと思います。
夏帆: いろんな国の方たちが来ていて、なかなか日本にいると世界を知る機会がないので、貴重な体験でした。また絶対にカンヌに来れるように頑張りたいと改めて思いました。
広瀬: 大人になって、またこの舞台に立てるような女優さんになりたいなと思いました。
Q 観客の反応でしてやったり、意外なところは?
是枝監督: 全体的にはすごく細かい小ネタまで笑ってくれたので、そこはとても嬉しかったですね。ただ日本では笑いが起きない場所、ちょっとくすくすと笑っているところがあったので、これはこの作品に限らないので、その辺は、みんな感度があがって観にきているので、ここで笑うのかというところが何か所かありましたが、そこも含めて、とても良い反応だったと思います。