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第36回モスクワ国際映画祭コンペティション部門で【最優秀作品賞】と【最優秀男優賞】のW受賞となった、熊切和嘉監督「私の男」。6月30日(月)に、主演の浅野忠信、二階堂ふみが駆けつけ、緊急記者会見を実施、モスクワから到着したばかりの受賞トロフィーを片手に、喜びのコメントを述べた。
浅野忠信コメント:
長いことこの仕事をしていてこういう機会はないので、すばらしい賞をいただけて本当に嬉しい。まさか賞をもらえるとは思ってもいなくてビックリしました。まったく想像のつかない地で映画を見てもらって評価してもったのは不思議な感覚です。
まずは家族に報告しました。僕のやりたいことの理解が高かったんで喜んでくれました。世界中の人に言い訳無用の現場で、情熱ややり方を学んできて、受け止めたものを実践し、それを評価していただいたのは本当に嬉しい。今後はこういう気持ちを大切にして(俳優として)やっていきたいなと思います。
30代は模索していた中、40代を迎えたときに取り組み方や再スタートを切りたいと、この役に思いを込めていました。若いときには表現できなかった役で、役者として演じる上で魅力的に感じる要素があり、ここできちんと吐き出していかないと次に進めないと思いました。
溢れる思いで役に向かい、役作りをしていた。監督にもスタッフにも我が儘を言って生意気なところはあったと思いますが、この役に対して自分の強い想いがあったことを、改めてこの賞をいただいたことで噛みしめ、自分がムキになれるぐらい、アツくならないと伝わらないことがあるのだなと思いました。そのシーン毎で自分に何ができるのか徹底的に考えたことが評価につながったのではと思います。今後、自分がどこまでできるのか楽しみで、どう今後向き合っていくのかひとつの課題になると思います。
ふみちゃんがいなければ「淳悟」はありえなかった。ふみちゃんが「花」の状態でいてくれて、「花」の存在感と力がなければ、「淳悟」の側面は出てこなかった。「花」がド真ん中にいてくれて「淳悟」の影が見える。とても感謝しております。
こういう風な形で日本の人たちにこういう映画もあるなと知ってもらえたと思います。簡単な内容ではないですが、みなさんに楽しんでもらえると思っておりますので、ぜひ劇場でご覧ください。
二階堂ふみコメント:
賞の話を聞いたときは、世界に認められてよかったなと、ただそれだけでした。毎日こういう賞をいただいて浮かれる気持ちはありますが、しっかりと受け止めて感謝の気持ちを忘れずに、これからもいい映画を作れる役者になれたらと思います。
(受賞の連絡を受け)母に連絡しました。「いつかは主演女優賞を楽しみにしています」と言われ、また頑張ろうと思いました(笑)。小さいころ母が映画好きで、映画の憧れが強くこの世界に入りました。その時に見てきた映画の中に浅野さんが出演していて、なんと素敵な素晴らしい役者さんなんだろうと憧れていました。
(浅野さんからふみちゃんがいなければ賞はなかったという言葉に対して)先輩からお言葉をいただけてグランプリと同じぐらい嬉しく光栄です。私にとって運命の作品で賞をいただいた、とても素晴らしい作品です。ぜひ劇場で堪能してください。
熊切監督:(スカイプ参加)
(賞を取ったと連絡あった際には)実家に電話しました。夜中だったので寝てた母親に全然信じてもらえなかったです(笑)。モスクワで公式上映と記者会見があり、「監督はどういう環境で育ったのか?」「どういう宗教教育を受けたのか?」などモラルを問われ、結構責められました。(記者に対しては)北海道でインテリの家庭ではなかったですが、愛のある家庭に育ちましたと答えました。ふてくされていたと思います(笑)。映画の反応はよかったので、(賞を取って)救われた気がします。流氷はとても重要なモチーフでしたし、個人的に北海道の地で撮影すると力がみなぎります。
浅野さんは、原作を読んでいるときからイメージをしていて、ずっと好きな俳優さんだったので、すぐにお願いしました。浅野さんは生身の切実さというか、よりイキイキとやっていただけたので撮っていてワクワクしました。二階堂さんは、別作品のオーディションの時に水面下で進んでいて、その場で「花」がいると思いました。
★「私の男」熊切和嘉/最優秀作品賞(Golden George)
1999年(第21回)の「生きたい」新藤兼人監督、以来15年ぶりの受賞
★浅野忠信/最優秀男優賞(“Silver George”for the best actor)
1983年(第13回)の「ふるさと」(神山征二郎監督) の加藤嘉、以来31年ぶりの受賞
6 月 14 日(土)より新宿ピカデリーほか全国公開!