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『ラストデイズ』

配給:エレファント・ピクチャー
オフィシャルサイト:
http://www.elephant-picture.jp/lastdays/
この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
マイケル・ピット
ルーカス・ハース
アーシア・アルジェント
スコット・グリーン
ニコール・ヴィシャス
キム・ゴードン
リッキー・ジェイ
ライアン・オライオン
ハーモニー・コリン
監督、脚本、編集:
  ガス・ヴァン・サント
製作:ダニー・ウルフ
撮影監督:
  ハリス・サヴィデス(ASC)
衣装デザイナー:
  ミッシェル・マットランド
音楽コンサルタント:
  サーストン・ムーア
   (ソニック・ユース)

2005/アメリカ/カラー/スタンダード
/SRD/1時間37分


イントロダクション
「90年代のアイコンでもあるロックバンド“ニルヴァーナ”のカート・コバーン。『エレファント』のガス・ヴァン・サント監督がカートの最期の日々にインスパイアされ、カートに捧げた詩的で静謐な作品」
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 1990年代の音楽、ロック・シーン、そこから生まれたカルチャーを考えたときに欠かせないアイコンとなるのが“グランジ・ロック”(GRUNGE  ROCK)である。薄汚いなどという意味合いのある“GRUNGE”だが(原義は“爪の垢”だという)、“グランジ・ロック”はポップ・ミュージックに辟易していた若者層を中心に圧倒的な支持を獲得していき、その波は現在までも続いている。そうした“グランジ・ロック”を代表するバンドが“ニルヴァーナ”(NIRVANA)(“涅槃”を意味する)だった。そして、この“ニルヴァーナ”のフロントマンであったカート・コバーンはその人気の絶頂の最中に自殺してしまう(1994/4/5)。ただ、それ以降も彼の音楽や精神は受け継がれ続け、彼らの影響下に音楽だけでなく、様々なものが生まれてきている。今回紹介する作品『ラストデイズ』は、そんなカート・コバーンの最期の数日を描いた作品である。
 この作品『ラストデイズ』は事実に則った形でカート・コバーンの最期の日々を描いた作品ではない。彼が最期の日々をどのように過ごしていたのかはもちろん、何が彼を自殺に導いたのかは未だに判然としていない(そのため陰謀論、他殺説は常に消え去ることはない)。そこにイマジネーションを持ち込み、この作品を作り上げたのがガス・ヴァン・サントである。実話をベースに作品を作り上げるという部分では、コロンバイン高校の銃乱射事件にイメージを借り、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『エレファント』、そこへと至る道筋で作られた、これもニュース記事にインスパイアされた傑作『ジェリー』から連なっているものである。そして、この作品は『エレファント』、『ジェリー』と同様に様々な解釈が可能な作品となっている。
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  物語の主人公は圧倒的な支持を受けるカリスマ的なミュージシャン ブレイクである。聖歌が鳴り響くオープニングのシーン、彼は森の中を歩き、たどり着いた川で泳ぎ始める。ぼさぼさの頭、伸ばしっぱなしの髭面、ぼろぼろの服。それは“グランジ”なスタイルかもしれないが、そこには“グランジ”が持っているであろう怒りはまったくない。彼の姿はただうつろなだけである。山の中のアパートメントには彼のグルーピーやバンド仲間がいる。でも、彼と彼らの間には交流らしきものもない。電話が頻繁に鳴り、レコード会社の人間が訪ねてくるが、彼はひと言も発する言葉を持たない。彼は独り言を呟くがそれが何を意味しているのかは理解できない。そしてあの瞬間がやって来る。
  例えば、カート・コバーンに深い思い入れを持つファンがこの作品を観て、どう思うのかは僕には全く想像ができない。“ニルヴァーナ”の楽曲が映画に挿入されているわけでもないし、心理的な描写が描かれているわけでもない。物語は彼が死に歩いてしまった数日(2日間)を淡々と描いていくだけである。それも実りのある数日ではなく、空虚に近い数日だ。監督のガス・ヴァン・サントはこの作品について「リサーチはしなかった」、「想像し、創作していった」と語っている。これだけで、この作品がカート・コバーンの真実を描いた作品でないことは伝わってくるだろう(大体、真実が分からないことも先に書いた)。でも、ガス・ヴァン・サント監督はカート・コバーンに共感し、彼の死からインスパイアされた部分が大きかったからこそ、この作品をカート・コバーンに捧げている。そして自らが『ドラッグストア・カウボーイ』(1989)でブレイクした頃の「(周囲のたかりなど)格好の標的となっていた」日々を思い出したとも語っている。そこにはブレイクすることで失う、気づく何かがあるのだ。
  限りなく美しい実験映画でもあった『ジェリー』(“メディテーション・ムービー”という揶揄もあった)、そこを受け継いだ『エレファント』、そしてこの『ラストデイズ』はふたつの作品の間に位置するような作品だ。スタンダード・サイズの画面、美しい映像、淡々とした物語展開。同じシーンを別の立場で見せていくという時系列の入れ替えも『エレファント』と同様に効果的である。そして何よりも重要なのは考えさせる、感じさせる余地があるということだろう。確かにあった事実を想像力で脚色した物語はその人間の内面にまで踏み込むことは一切していない。それは映像と物語の力に託したということでもあり、ガス・ヴァン・サント監督自身の真相なんて分からない、関係ない、ただ、才能を持ちながらも悩み続け、ぶつかり、逝ってしまった男がいたという悲しみ、怒りの表現なのかもしれない。
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  主演はカート・コバーンにそっくりな風貌をみせるマイケル・ピット。共演はルーク・ハース、リッキー・ジェイ、アーシア・アルジェント、ハーモニー・コリン、ソニック・ユースのキム・ゴードンなど。音楽コンサルタントはソニック・ユースのサーストン・ムーアが担当している。
  映画の中で印象に残るシーンはいくつもある。その中のひとつはまるで希望のようにブレイクが音楽を奏でるシーンであり、アルコールやドラッグに溺れるのではなく、まがりなりにもシリアルやインスタント・フードを作り、食すシーンかもしれない。そして映像と一体となった音、音圧がとにかく素晴らしい。先ほども書いたようにカート・コバーンに深い思い入れを持つファンがこの作品を肯定的に受け取るのかは分からない。映画ファンでも賛否が分かれるだろう。でも、『エレファント』、『ジェリー』に魅了されたなら、ぜひ、劇場に脚を運んで欲しい。もちろん、ロック・ファンも同様だ。

ストーリー
「カリスマ的なロック・ミュージシャン ブレイクの最期の2日間」
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 森の中を独り言を呟きながら進む男。彼の名はブレイク。圧倒的な支持を受けるカリスマ的なロック・ミュージシャンだ。リハビリ施設から逃げ出した彼はある屋敷に辿りつき、入り込む。そこは彼の別荘のようなものであり、この日は彼に群がるバンド仲間などが滞在していた。バンド仲間たちはアルコールやドラッグの中へと落ちているが、ブレイクは彼らとも関わることなく、うつろな様子で家や周囲をうろついている。そんな彼の元には電話がかかりまくり、レコード会社の人物、私立探偵までやってくるが全くコミュニケートすることがない。周囲の期待とは全く関係なく、彼は自分の内へと埋没していく。
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