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『真夜中のピアニスト』

配給:メディア・スーツ、ハピネット・ピクチャーズ
オフィシャルサイト:
http://www.mayonaka-pianist.com/
この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
ロマン・デュリス
ニール・アルストラップ
リン・ダン・ファン
オーレ・アッティカ
エメニュエル・ドゥヴォス
ジョナサン・ザッカイ
ジル・コーエン
アントン・ヤコフレフ
メラニー・ロラン
監督、脚本、台詞:
  ジャック・オディアール
脚本、台詞:
  トニーノ・ブナキスタ
(『マッド・フィンガーズ』監督、脚本ジェームズ・トバックより)
撮影監督:
  ステファーヌ・フォンテーヌ
編集:
 ジュリエット・ウェルフリング
美術:フランソワ・エマニュエリ
衣装:ヴィルジニー・モンテル
音楽:アレクサンドル・デスプラ

*2005年ベルリン映画祭
  銀熊賞(音楽賞) 受賞

2005/フランス/カラー/35o/
1時間48分


イントロダクション
「卑劣なことを繰り返す不動産ブローカーとして働き続ける男の中に蘇る夢。現代の“ノワール”ともいえる狂気、切なさ、成長の物語」
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 フランス映画の伝統に“ノワール”と呼ばれるものがある。“暗黒映画”などと呼ばれるギャング、裏社会の男たちを描いた、『穴』、『暗黒街の顔役』、『地下室のメロディー』、『犬』などが代表的作品である(あの主題歌も有名な『冒険者たち』もこの系譜に入るかもしれないが、原作者で映画監督としても活躍したこの世界の顔であるジョゼ・ジョバンニはこの映画をとことん嫌い、自らの手で撮りあげている)。こうした“ノワール”の諸作は1940年代、50年代のジョン・ヒューストン監督の作品、ジェームズ・ギャグニーが主演した作品などのアメリカ映画から多大な影響を受けてきた。リュック・ベッソンなどは初めの頃“ネオ・ノワール”、“ネオ・ヌーヴェルバーグ”という形で語られてもいた。今回紹介する『真夜中のピアニスト』はこうしたフランス映画が持つ“ノワール”の脈を受け継いでいる作品だ。
 主人公は仲間と不動産業を営む男。不動産業といっても地上げ、追い立てのための嫌がらせなども行う裏稼業的な不動産業者、ブローカーだ。彼の父親は同じ不動産業者、亡くなった母親は著名なピアニストだった。ある日、彼は車の中から母親のマネージャーだった男を見つける。彼は男からピアノの才能を褒められたことがあったのだ。男と再会した彼はオーディションの機会を与えられ、10年ぶりにピアノに向かい、ピアニストを目指し、猛特訓を続けるが、その気持ちを彼の周囲はほとんど理解せず、彼にも現実が押し寄せてくる、というのがこの作品の大筋だ。なんとなく分かるかもしれないが、現状へのやるせない気持ちが向かわせる忘れていた夢への想い、それに対する現実の重みがこの作品の中にはうまく閉じ込められている。
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 実はこの作品『真夜中のピアニスト』は『』という作品のリメイクである。若き日のハーヴェイ・カイテル主演による1978年製作(日本公開は1981年)のこの作品は一部に熱狂的なファンを持ってる。この『マッド・フィンガーズ』に魅了されていたひとりが、『真夜中のピアニスト』の監督であるジャック・オディアールだった。あるプロデューサーから「何かリメイクをやりたくないか」と問われ、この作品を即答したという監督は『マッド・フィンガーズ』の魅力について「明確なテーマ、そして裏に隠れているテーマという様々なテーマが含まれているからだ。」と語っている。観てもらえば分かるが、この作品には親子、夢など様々なテーマが満ちている。そうしたテーマが主人公をバラバラの方向へと持っていくのだ。
 『マッド・フィンガーズ』をリメイクするに当たって、監督は(舞台をニューヨークからパリに移すのは当然として)主人公の設定をマフィアから不動産業者へと変更している。監督は「私たち(監督と脚本家)は主人公がマフィアという設定が気に入らなかった。そこで何か新しいものにしようと考えた末に卑劣な不動産業界に着目した。」と語っている。マフィアや(日本なら)ヤクザによる“ノワール”はありふれているし、正直、現実の生活とのリンクがほとんどない。そういった世界よりも汚いビジネスの世界があることを僕たちはなんとなくとも知っている。フレンチ“ノワール”復活の狼煙をあげたともいえる作品『ブルー・レクイエム』もそうだが、主人公を傍目には普通の商売としたことはこの作品にとって相当な意味を持っていると思う。
 出演は『ルパン』、『スパニッシュ・アパートメント』などへの出演で注目の男優 ロマン・デュリス、ジャック・オディアール監督の作品『リード・マイ・リップス』も印象的だったエマニュエル・ドゥヴォス、『サム・サフィ』のオーレン・アッティカなど。
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 作品は主人公に向かい友人が、自分の親がボケて子供になってしまったと泣きながら語るシーンで始まる。この映画の世界、自分の思うように行動できなくなるということを示唆するような印象的なシーンだ。主人公たちは立ち退きをさせようと狙いをつけたアパートメントにネズミをばら撒いたり、不法占拠(というより正当な占拠になるのか)したアパートメントの移民たちに暴力行為を働いていく。全ては自分たちの稼ぎのためだ。再婚しようとしている父親からは「慣れているだろ」と取り立てもやらされる。本当はやりたくないのだが、父子の関係からやらざる得ない状況になっていく。そうした中で彼が偶然にも再発見したのがピアノだった。それは母親への愛情であり、この腐った、荒みきった世界の中にある唯一の希望だ。オーディションを受け、プロになるというあまりにも無謀な夢想の中に彼は入り込み、言葉の疎通が出来ない中国人ピアニストのアパートメントに通い、家では寝る間を惜しみ、練習を重ねていく。そしてもしかしたら、彼はオーディションを通過するのかもしれないという一縷の望みが見えかけてくる。
 この作品には彼がピアノを教わる中国人をはじめ、アラブ系、中国系、ロシア系など様々な移民たちがひしめき合っているパリの現実もきちんと捉えられている。主人公は最初はこいつらを徹底的に嫌うのだが、ピアノに打ち込む内にその心境すら変わってくる。ピアノを弾き始めてからはバーのカウンターでイメージを膨らませながら指を動かし、それまでにない満足そうな表情を浮かべたりもする。こうした幸福なシーンと、それとは正反対の心が荒むような現実の出来事、この対比と連なりの描き方、それを演じるロマン・デュリスが本当に素晴らしい。
 脚本家は「この映画はフィルム・ノワールではない」と語っている。確かにそうかもしれない。ただ、この作品を支配する空気、その中で翻弄されていきながら成長していく男という物語は現代でしか成り立たない“ノワール”だと思う。オリジナルは『マッド・フィンガーズ』だが、それとは別の翻弄され続ける男の素晴らしい作品だ。フランス映画もどんどんとこういう作品を生み出してくれればと思う。ぜひ、劇場に足を運んでください。

ストーリー
「卑劣な行為を繰り返し荒稼ぎする不動産ブローカーの男。彼が眠らせていたピアニストへの夢が動き始める」
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 トムは友人たちと組んで不動産の仕事をしている。表向きはキレイな商売---だが、彼らがやっていることは不法滞在している住民をあの手この手で追い出して、その物件を転売するという仕事だ。この日もあるアパートメントにネズミを放したばかりだ。
 ある日、トムは父親から再婚相手を紹介される。そのことをトムは素直に受け取れない。しかも、父親からは頼まれていた、気の進まない取立ての仕事を催促される。
 ある夜、車でコンサート・ホールの前を通りかかると見覚えのある人物を見つける。それは著名なピアニストだった亡くなった彼の母親のマネージャーだった。久々の再会。マネージャーは「今でもピアノをやっているのか」と尋ね、彼にオーディションを受けてみないかと薦める。忘れていたピアニストへの夢が彼の中に蘇り、その日から彼は10年ぶりにピアノに向かい合うことになる。だが、現実は彼をそこだけにとどめておくことは許さなかった。
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