「卑劣な行為を繰り返し荒稼ぎする不動産ブローカーの男。彼が眠らせていたピアニストへの夢が動き始める」
トムは友人たちと組んで不動産の仕事をしている。表向きはキレイな商売---だが、彼らがやっていることは不法滞在している住民をあの手この手で追い出して、その物件を転売するという仕事だ。この日もあるアパートメントにネズミを放したばかりだ。
ある日、トムは父親から再婚相手を紹介される。そのことをトムは素直に受け取れない。しかも、父親からは頼まれていた、気の進まない取立ての仕事を催促される。
ある夜、車でコンサート・ホールの前を通りかかると見覚えのある人物を見つける。それは著名なピアニストだった亡くなった彼の母親のマネージャーだった。久々の再会。マネージャーは「今でもピアノをやっているのか」と尋ね、彼にオーディションを受けてみないかと薦める。忘れていたピアニストへの夢が彼の中に蘇り、その日から彼は10年ぶりにピアノに向かい合うことになる。だが、現実は彼をそこだけにとどめておくことは許さなかった。 |