「16年ぶりの親友との再会。思い出をベースにした脚本。そこに隠された真実とは」
舞台は1980年のマドリード。プロデューサーと新作の打ち合わせをしている新進気鋭の若手映画監督エンリケの事務所に、イグナシオと名乗る美青年が訪ねてきた。イグナシオは16年前の神学校寄宿舎時代のエンリケの親友だった。しかし、その風貌は全く変わっていた。売れない舞台俳優であるイグナシオは自分が出演することを条件に1冊の自作の脚本「訪れ」をエンリケに手渡し、事務所を去っていく。「訪れ」はエンリケとイグナシオの神学校寄宿舎時代の悲劇をベースにした物語だった。読む進めながら、様々な記憶が脳裏に甦ってきたエンリケはこの作品の映画化を決意する。しかし、その「訪れ」という脚本の裏とこの再会までの歳月の間にはエンリケが知るはずもない意外な事実が隠されていた。 |