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2011年01月11日 配信
今年最初の試写は「太平洋の奇跡フォックスと呼ばれた男」。
竹野内豊の話題作だ。
1944年玉砕の島サイパンで、敗戦を知らず、戦い続け、
生き残った民間人を守り抜いた大場栄を演じている。
大尉の威厳と誠実性が、まず彼の良く通る声からにじみ出る。
そして機敏な動作とスマートな身のこなしで、さらに信頼度を高め、
気高きフォックスのあだ名にふさわしい存在感を画面に据え置く。
まさに竹野内は適役だ。
クリカラモンモンを入れた一等兵に扮した唐沢寿明も
頭を丸め体当たりで臨み、命知らずで正義感の強いはぐれ狼を
生き生きと演じている。
阿部サダヲは、珍しくまじめな芝居で大事な役どころ
(英語が話せる日本人役)をこなし、山田孝之もさらなる
成長ぶりを見せて、史実に基づく物語の核心部をどっしりと押える。
目を見張るのは、大場を尊敬する敵の大尉ハーマンに扮した
ショーン・マクゴーウィンの日本語の上手さだ。
日本に二年間留学していたという親日家の役柄だけに、
日本語を喋るシーンが多いのだが、それがなかなかの長台詞。
よくぞこれだけ覚えたものと拍手を送りたくなった。
戦争映画は二度と観ないと公言しながら、試写に行ったのは、
やはり竹野内君が主役だからに他ならないが、
米兵に一目置かれ、終戦後、島で交流会まで開かれた大場栄は、
確かに後世に語り継ぐべきヒーロー、われわれ日本人は
彼の存在を胸に刻んでおくべきかもしれない。
原作者の元米兵は、大場栄の住所を突き止め、
当時を書き残したいと説得を重ねたという。
日米間の交流にほっとするこの美談は、子どもたちにも是非観てほしい。
(Koz)