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原作はビッグコミックオリジナルに連載中の同名人気漫画。主人公の島崎三歩は小栗旬が演ずる。
舞台は北アルプス・穂高岳。松本市内(縄手の裏側が見える女鳥羽川)や安曇野での撮影も行われたので、信州の人々は春の公開が待ち遠しいことだろう。
小栗旬は、高所恐怖症にもかかわらず、クライミングのレッスンに励み、アイスクライミングまでスムースにマスターしたという。運動能力の高さと、のみ込みの早さに加えて、俳優としてのなりきり感覚の良さにも感服する。さらに「三歩」君のキャラクターが原作そのままなのだ。何より山を愛し、常に笑顔で一見のんびり屋さん。何ごとも、ひょうひょうとこなして物事の真意を突いたことをポツリと言う。
「クイズだよ。山に捨ててはいけないものは?」 救助隊に加わったばかりの長澤まさみ扮する久美に訊く。久美は「ゴミでしょ? 女でしょ?」と冗談で返すが時を経て三歩は彼女に答える。「山に捨ててはいけないものは、命だ」
救助隊は命がけで遭難者を助けるが、自分の命を落としてはならない。命の危険を伴う悪天候に見舞われた時は、潔く捜索を打ち切る決断をすべきだと、佐々木蔵之介扮するレスキュー隊長は部下に言う。
「生きて! 目線を高く、まっすぐに歩いて!」 久美は、やはりレスキュー隊だった父の遺した言葉を胸に、生きることへの力強いエネルギーを身体に蓄えてゆく。
冒頭から映し出される鮮明な立山連峰、スカイブルーの空の清々しさ、まばゆいばかりに輝く雪山、そして雲海の向こうにたたずむ金色の夕日。大自然の、あまりの美しさに目を見開き、息を呑み、この景色よもっと続け!と心で叫ぶ。この映像ならば「日本の百名山」に十分勝てる。
手に汗にぎる切迫感のクライマックスでは心ならずも自然に涙が頬をつたっていた。
(Koz)