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シリーズ10周年、劇場版として3作目。これまでのシリーズとほぼ同じ展開はマンネリだが、そこがいいところでもある(72点)
テレビ朝日の深夜番組としてスタートしてから、深夜ドラマが2シーズン、夜9時台での放送が1シーズン、スペシャルが2本(1本は現時点ではまだ放送されていない。2010年5月15日放送)、そして劇場版が本作を入れて3本。今年で10周年を迎えるシリーズは、これほど長く続いているのであるから、多くの人に愛されているといって言いだろう。10周年記念の本作の内容は、堤幸彦監督が一種のシニカルなジョークとして、舞台となる村を「万練村」と名づけたように、全くの「マンネリ」だ。これまでのシリーズの集大成でもあるし、単なる繰り返しでもある。本作の場合は、それでいいのだ。
自称・人気マジシャンの山田(仲間由紀恵)と自称・天才物理学者の上田(阿部寛)のコンビが、孤島や僻村を訪ね、超能力や呪い、迷信などのオカルトめいた事件を、手品の種明かしよろしく解決する。シリーズはどれを見てもほとんど同じ。金太郎飴だ。でも、悪いことではない。大枠が「お約束」としてあるからこそ、細かい差異を楽しむことが出来る。かつてのプログラム・ピクチャーとは、そういうものだった。物語は「ハリー・ポッター」シリーズのように進展して行かず、ただ繰り返す。代表的なものが、山田洋次監督の「男はつらいよ」シリーズだろう。テレビドラマから始まって、映画になり、ストーリーはどれを見てもほぼ同じ。むしろ、まるで違った話にするのは、観客を裏切ることになりかねない。
今回は人里離れた山奥にあり、「自然一人占め。誰にも会わない村」がキャッチフレーズの万練村に霊能力者たちが集まり、村を守る霊媒師「カミハエーリ」となるべく、生死を賭けて戦う。霊能力者に扮するのは、松平健、戸田恵子、片瀬那奈、藤木直人らの面々。松平は「暴れん坊将軍」のように白馬にまたがり、戸田は信者たちと奇妙なダンスを踊る。「リング」の元ネタとなった明治末の千里眼事件のパロディーも展開される。もちろん、お馴染みの髪の毛を気にする刑事(生瀬勝久)とその部下(池田鉄洋)も登場する。