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2010年03月24日 配信
兄弟が乗る船の下には罪悪感という海が広がっていた(65点)
ロンドン三部作の最終章は、ささやかな野心と皮肉な運命を描く人間ドラマ。ビジネス界での成功を夢見る兄イアンと、ギャンブル好きの弟テリーは、小型クルーザーを購入し、カサンドラズ・ドリーム号と名付ける。イアンは恋人相手に分不相応な見栄をはりながらも、新生活を夢見ていた。だがギャンブルで大負けしたテリーが巨額の借金を背負ってしまう。兄弟は大金持ちの伯父ハワードに助けを求めるが、彼からとんでもない“頼みごと”を持ちかけられ……。
カサンドラズ・ドリームは、テリーがドッグレースで大勝した時のゲンのいい犬の名前。だがカサンドラとは実は、ギリシャ神話に登場する王女で、神から未来を予言する力を授かるが彼女の予言は誰からも信じてもらえないという悲劇の預言者の名前なのだ。このことから兄弟の運命は見えてくる。彼らはどこにでもいる労働者階級の人間で、決して不幸なわけではないのに現在の生活レベルに漠然とした不満がある。さしたる努力もせず、才能もなく、なんとなく“金持ちになりたい、華やかな暮らしがしたい”と望む小心者だ。