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2010年03月24日 配信
「8 1/2」が創作に思い悩むフェリーニ自身を自虐的に投影したアート系ムービーの最高峰なら、「NINE」はその山に登るための優れたガイドブック(75点)
超豪華キャストのミュージカルは、全盛期のイタリア映画への敬意に満ちている。1964年のイタリア。世界的な映画監督のグイドは、新作映画のクランクインを前に、深刻なスランプ状態だ。脚本が1行も書けずにパニックになり愛妻のルイザに助けを求めるが、グイドには妻以外にも沢山の愛する女性が。全てを忘れさせてくれる愛人、魅惑的な主演女優、長年の親友の衣装係、若くて美人の記者、最愛の母親に果ては初めて男として目覚めさせてくれた娼婦まで。プレッシャーの中で苦悶するグイドは、多くの女たちの幻想に溺れていく…。
フェデリコ・フェリーニの映画からブロードウェイへ、さらにそれを映画化へという流れは、過去に「カビリアの夜」のミュージカル版「スイート・チャリティ」があるが、「8 1/2」を素材とした本作の方が断然面白い。「8 1/2」が創作に思い悩むフェリーニ自身を自虐的に投影したアート系ムービーの最高峰なら、「NINE」はその山に登るための優れたガイドブック。つまり非常に分かりやすいのだ。