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男性目線で、恋愛を真摯に描くキュートな作品(75点)
恋に落ちると、相手を運命の人であると感じる人も少なくないだろう。それは果たして本当に運命なのか、ただ単に偶然なのか、わたしたちには分からない。恋愛は謎だらけなのだ。映画『(500)日のサマー』は、わたしたちを悩み苦しませる恋愛というものを、多くの映画が作られた大都市ロサンゼルスを舞台に正直なアプローチで描く。しかしながら、ここで一言、この映画はラブストーリーではない。
2009年のサンダンス映画祭で話題を集めたこの映画の監督を務めたのは本作が初監督作品となるマーク・ウェブ。彼のこの映画での正直なアプローチとは、まずこの映画が恋愛映画ではなく、恋愛について語っているが通過儀礼映画である事が述べられる。本作はロマンティクムービーの皮を被った主人公の成長物語で、普段語られる事のない、恋に落ちた全ての男性の心の声を聞く事が出来る。
本作の主人公はジョセフ・ゴードン=レヴィット(『BRICK/ブリック』『G.I.ジョー』)扮するコピーライターとしてメッセージカード会社に務める 20代の男子トム・ハンソン。ある日、彼のボスが新しいアシスタントを紹介する。ズーイー・デシャネル(『ハプニング』『イエスマン"YESは人生のパスワード"』)扮する彼女の名はサマー・フィン。一目で恋に落ちるトム。それから彼のサマーとの500日が始まる。
このマーク・ウェブ監督作において、最も成功しているのはキャスティングだ。雰囲気女優のズーイー・デシャネルはいつもの様に独特のオーラを放ち、彼女の魅力を振りまくが、彼女と素晴らしいコンビネーションを見せるジョセフ・ゴードン=レヴィットが特に賞賛に値するパフォーマンスを披露している。インディペンデント映画に好んで出演する彼だが、今回は今までに見せた事のない歌とダンスで魅了する。演技も20代男性の心境をリアルに表現し、まさに何でも出来る俳優である事を本作で証明している。