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幼女と労働者に向けたアニメーション(70点)
案外盲点であるが、幼児向けの映画というものは、幼児だけが見るものではない。
幼稚園児がクラスメートと手をつないで映画館までやってくることは(たまにはあるかも知れないが)まず無いわけで、通常は親御さんが一緒にやってくる。そこで目ざとい業界人は考える。子供が見たがる映画を作れば、親の人数分よけいに儲かる、と。ここまではよくある話。
だが、商売よりもいい作品を作りたいと考えるクリエイターならば、きっとこう考えるはずだ。子供を楽しませながら、(同時に必ず見に来るであろう)親の世代にユニークなメッセージを伝える事はできないか、と。
ものづくり妖精のティンカーベル(声:深町彩里)は、8年に1度の重要な式典に使う杖の制作を女王から依頼される。ところが彼女は、不注意からその杖に設置する妖精界の宝「月の石」を壊してしまう。式典の日に石がなければ、妖精の国の魔法は失われてしまうのだが……。
2008年のクリスマスに公開された「ティンカー・ベル」の続編。短気なブロンド美少女ことティンカーベルは、彼氏とトラブって大事な宝をぶちこわしてしまう。この重大事件に彼女はどう対処するのか。そこがポイントといえる。
ディズニー作品らしく、伏線とその回収が的確になされ、脚本に隙が無い。とくに、友情賛美の主題は何重にも繰り返される。「友情」を大事にする事により、主人公が何度もピンチから救われる物語を見る。それは、子供たちの深層心理にきっと良いものを残してくれるはずだ。アクションも多いが、決して暴力を描いていないところもよろしい。トロールの番人の場面を見ると、バイオレンスなどなくとも十分な見せ場が作れることが良くわかる