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ワルシャワ蜂起など史実に材を取った作品を撮り続け、レジスタンスの体験を基にした「世代」(54)、対ソ連の地下抵抗運動を描いた「地下水道」(56)、第2次大戦前後のポーランド社会の流転を描いた「灰とダイヤモンド」(58)など、[抵抗3部作]で国際的な評価を獲得。1981年、「鉄の男」でカンヌ国際映画祭・パルムドールを受賞し、2000年には米アカデミー賞®名誉賞を受賞したポーランド映画の巨匠アンジェイ・ワイダ監督(90歳)が10月9日に急逝した。
アンジェイ・ワイダ監督の最新作であり、遺作となった「残像」(原題)が2017年6月に岩波ホールで公開される。本作は、アヴァンギャルドなスタイルで有名なポーランド人画家、ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキの生涯を描いた物語。1945年、スターリンがポーランドへと侵略の手を伸ばす中、著名な画家、ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキは社会的リアリズムの方針と自身のアートが歩み寄ることを拒否する。そのことから迫害され、大学の教授の椅子から追放され、美術館の壁からも作品は排除された。数名の学生たちの協力を得て彼は党に対して闘いを挑み、文化人の全体主義(個人の全ては全体に従属すべきとする思想または政治体制の1つ)に対するアーティスティックなレジスタンスのシンボルとなった。
【ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキ】
1893年11月21日ー1952年12月28日、ミンスク生まれの画家。マレーヴィチの助手を経て、彫刻家の妻カタジナ・コブロと共にポーランド前衛芸術の地盤を築いた。1924年ポーランドに移住。「空間概念の操作に基づく超時間的絵画」をめざすウニズムを唱えた。全作品はウッチ近代美術館に所蔵されており、1930年〜34年の作品は非具象の古典といわれる。代表作に「海の風景」(34年)、「ウニズム的コンポジション」など。
監督:アンジェイ・ワイダ
脚本:アンジェイ・ワイダ、アンジェイ・ムラルチク
撮影:パヴェウ・エデルマン
出演:ボグスワフ・リンダ、ゾフィア・ヴィフラチュ
2016年/ポーランド/ポーランド語/シネマスコープ/5.1ch/98分/
原題:Powidoki/英題:Afterimage
2017年6月、岩波ホールほか全国順次ロードショー