新着映画情報
1993年10月31日に23歳の若さで他界した俳優、リヴァー・フェニックス。撮影中の急逝により、未完成のままお蔵入りとなり、世界中のファンがその完成を待ちわびていた遺作「ダーク・ブラッド(原題)」が、没後20年近い歳月を経て完成。日本では2014年の劇場公開が決定、東京・ユーロスペースほか全国ロードショー予定。
子役時代に主演した「スタンド・バイ・ミー」(86)、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた「旅立ちの時」(88)、盟友キアヌ・リーブスと共演しベネチア国際映画祭男優賞受賞の「マイ・プライベート・アイダホ」(91)など、実力と人気を兼ねた若手俳優として、輝かしい経歴を誇るリヴァー・フェニックス。わずか23歳にして薬物の過剰摂取で、ハリウッドの人気クラブ、ヴァイパー・ルームの入り口でリヴァーが急逝したのは、今からちょうど20年前の10月31日。それは、「ダーク・ブラッド(原題)」撮影の最中、クランクアップの10日前であった。突然の訃報に、リヴァーの親友たち、キアヌ・リーブス、ジョニー・デップ、イーサン・ホークなどハリウッドをはじめ、全世界中に大きな悲しみと衝撃が広がった。
ジョルジュ・シュルイツァー監督(現在81歳/「ザ・バニシング‐消失‐」「マイセン幻影」)は、リヴァーの死後、保険会社に「ダーク・ブラッド(原題)」のフィルムを取りあげられることを恐れ、オランダに持ち帰り長らく保管していた。しかし、2008年に大病を患い死に直面した監督は、作品を完成させることを決意。フィルムの法的問題がクリアになり、資金確保の目途も立ったことから、2009年より映画製作を再開した。撮影できなかったシーンは、ナレーションで補うなどの工夫でようやく完成した本作は、2012年9月にシュルイツァー監督の地元であるオランダ映画祭でプレミア上映を実施、2013年第63回ベルリン国際映画祭に出品され、世界的なニュースとなった。
映画は、妻を亡くし、かつて核実験場であった砂漠の荒れ地に住む青年ボーイ(リヴァー・フェニックス)の物語。ある日、青年ボーイの元に、ハリウッドからやってきた裕福な夫婦、ハリー(ジョナサン・プライス)とバフィー(ジュディ・デイヴィス)が車の故障のために助けを求めてやって来る。人里離れた荒野で世捨て人のような生活をしている青年ボーイは、親切だがどこか不気味な雰囲気を漂わせている。しかし、夫婦には、彼を頼ることしか帰路につく方法はない。一方、妻を亡くして以来、世界の終末を待ちわびる孤独な青年ボーイは、二人との出会いを契機にその内に秘めた本能が目覚めていく。美しいバフィーに好意を寄せるボーイ、彼の妖しく不思議な魅力にはまり込んでいくバフィー、ボーイとことある毎に衝突するハリー、三人の関係は次第に緊迫の度を深めてゆく。
「ダーク・ブラッド(原題)」 2014年春、東京・ユーロスペースほか全国ロードショー
公式サイト
監督:ジョルジュ・シュルイツァー
出演:リヴァー・フェニックス、ジョナサン・プライス、ジュディ・デイヴィスほか
配給:マジックアワー