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2012年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞<グランプリ>受賞、キム・ギドク監督最新作「嘆きのピエタ」公開を記念して、5月25日(土)〜5月31日(金)、早稲田松竹にて、2004年のベルリン国際映画祭とヴェネチア国際映画祭でそれぞれの“銀”を制覇した「サマリア」(04)と「うつせみ」(04)を特集上映する。
「サマリア」(95分)
2004年 ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)受賞
監督・脚本・編集・美術監督:キム・ギドク
出演:クァク・チミン/ソ・ミンジョン/イ・オル/クォン・ヒョンミン/オ・ヨン
ふたりの少女の憧れにも似た友情が導く、美しく残酷な物語。
女子高生ヨジンは父と二人暮らし。親友のチェヨンはお金を貯めるために援助交際をしている。嫌悪感をもちながら見張り役をしているヨジンの前で、警察から逃げようとしたチェヨンが窓から身を投じてしまう。親友の死後、ヨジンはチェヨンの客に会い、関係を持ちお金を返していく。それを知ったヨジンの父は・・・。
「うつせみ」(88分)
2004年 ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞
監督・製作・脚本:キム・ギドク
出演:イ・スンヨン/ジェヒ/クォン・ヒョコ/チュ・ジンモ/チェ・ジョンホ
はかなく美しい夢のような時間。空虚な心がひたひたと満たされてゆく。
青年テソクはバイクで街を走りながら留守宅を探している。空き家に忍び込んでは、そこで束の間の生活を送るテソク。ある日、忍び込んだ豪邸で、夫によって家に閉じ込められた人妻ソナと出会う。夫との生活に疲れ抜け殻のようなソナとテソクの秘密の旅が始まるのだが…。
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最新作「嘆きのピエタ」公開記念 キム・ギドク監督特集
5月25日(土)〜5月31日(金) @早稲田松竹
「サマリア」 11:10/14:40/18:10
「うつせみ」 13:00/16:30/20:00
詳細はhttp://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/2013/kimkiduk.html
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鬼才キム・ギドク監督 異端から世界の頂点へ――
1960年に生まれ、小学校卒業後、職業訓練学校を経て清渓川地域で工場労働者として働き、20歳で軍隊に入隊。除隊後、幼い頃から好きだった絵画に没頭し、30歳の時に単身パリへ渡り、路上画家として暮らしていたが、ある日「羊たちの沈黙」(90)「ポンヌフの恋人」(91)を観て映画に初めて出会い衝撃を受けたという。
学歴社会といわれる韓国社会において、大学はおろか小学校卒業程度の教育しか受けていないキム・ギドク監督は、パリから帰国後、映画を独自に作り始め、その独自すぎる作風から異端天才児と呼ばれた。「鰐(ワニ)」(96)の強烈なイメージでデビュー以降、年間1本〜2本のペースで、低予算かつ短期間で撮影された作品群を17年間で18本発表してきたキム・ギドク監督。その天才的で唯一無二な作家性から、海外の映画祭では次々と受賞を重ね“世界のキム・ギドク”として常にセンセーションを巻き起こし、新作が熱望される存在となった。日本でも「魚と寝る女」(00)や「悪い男」(02)が公開されて以来、熱狂的な映画ファンから熱い支持を得ている。
しかし、大作がスクリーンを占有し続ける韓国映画界では辛酸をなめ続け、さらに2008年にオダギリ・ジョーを主演に迎えた「悲夢」撮影中に起きた事故をきっかけに、韓国映画界と一切の接触を絶ち姿を消していた。その間に人里離れた山小屋での隠遁生活を送る自分を撮影したセルフドキュメンタリー「アリラン」が2011年カンヌ国際映画祭<ある視点部門>最優秀作品賞を受賞し、映画界への復帰を果たした。(この時点で、ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞「サマリア」(04)、ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞「うつせみ」(04)に続いて世界三大映画祭での受賞を制覇) そして、世界が待ち望んだ久々の本格的劇映画となる「嘆きのピエタ」は、北野武監督やポール・トーマス・アンダーソン監督を押さえて、みごと2012年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。このグランプリ受賞は、韓国映画として初の世界三大映画祭という場における最高賞受賞という快挙となった。
「嘆きのピエタ」 6月15日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー