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本年度のカンヌ国際映画祭において、僅か3分間の映像でスタンディングオベーションを巻き起こし話題になった、映画「マイウェイ 12,000キロの真実」(正式タイトル)。 <関連ニュース>
主演のオダギリジョ―に「毎日、死にそうな思いをしている」と言わしめるほどの過酷さを極めた本作の撮影現場。ラトビアにおいて行われた、最大のクライマックスである“ノルマンディー上陸作戦”の撮影を終え、クランクアップした。
カンヌの後、そのままラトビアに移動した、「マイウェイ」撮影チーム。第二次大戦当時のノルマンディのビーチにそっくりな海辺には、大規模なドイツ軍の塹壕が築かれた。カメラマンは防火服に身を包み、常に救急車が待機するという危険と隣り合わせの状況下で、撮影が行われた。白夜のため、22時を過ぎても日中のシーンの撮影が行われる日々が続いた。激戦シーンを経て、6月12日、9カ月に及んだ長期間の撮影が終了しクランクアップとなった。オダギリジョ―のキャリアでは最も長期間の撮影となった。
【クランクアップ後のインタビュー】
■オダギリジョ― <国を信じた男 長谷川辰雄役>
○長期間に及んだ撮影に関して *韓国で8カ月、ラトビアは1ヵ月
始まる時は、地獄の日々が始まると思いましたが、今日で終わるとなると寂しいですね。元々、韓国は好きだったので、仕事で8カ月過ごせたのは幸運だと思ったし、楽しかったです。ラトビアも季節も良くて、凄く楽しかったです。
○作品に関して
第二次世界大戦に触れるというのは、どこの国にとっても凄く敏感な事柄です。そんな中、韓国、中国、日本、三か国の俳優が集まってこの作品を作るという事が、大きな挑戦だと思いました。この作品は、二人の男の物語です。ただその物語の中に戦争があるというだけで、戦争映画だとは思っていません。
○チャン・ドンゴン氏に関して
日本でも有名な韓国のトップスターですし、すごく緊張するんじゃないかと思ってました。実際にお会いしたら、意外にシャイな部分があり、一人でいる事が好きな部分だったり、人との距離感であったりが僕と似た部分が見えてきて、お互いが無理することなく、過ごしやすい空気感を共有できるようになりました。一緒に芝居をする時も、お互いに尊重しあえて、演技しやすい環境を作りあえる、そういう関係性だったので凄くやりやすかったです。ドンゴン氏とは、俳優としてというよりも人間として似た部分が多いと感じました。凄く理解しあえている気がして、とても身近に感じました。
○現場スタッフとの一体感に関して
色んなタイミングで、役者やスタッフとも、食事に行ったり呑みに行ったりする機会があって、色々な話しが出来で良かったなと思っています。僕よりも若いスタッフが多く、みんな「ヒョン、ヒョン(兄さん、兄さん)」と呼んでくれたり、一つの大きな家族のような一体感が出来ていたと思います。通常、現場のスタッフの方々と、「みんなで集まってサッカーをやろう」という事にはなかなかならないので、今回、ひとつのきっかけとして、みんながサッカーが好きという共通点があって、 休みの日にサッカーが出来たりしたのが楽しかったですね。日本では撮影監督と一緒にサッカーをする機会というのは無いですからね。想い出の一つとして残っています。
■チャン・ドンゴン <夢を信じた男 キム・ジュンシク役>
○クランクアップの感想、長い撮影が終わった感想は?
8カ月の長い撮影が終わって、終わってみると何故か、わかんないけど寂しい気がする。改めて振り返ると、もっと上手くできたかもと思ってしまう部分も出てくる。
○出演を決めた事に関して
朝鮮半島からノルマンディまでの12.000kmの極限状態の旅を生き抜いた兵士の実話が基になっている事で興味がわいて、本当にこんな過酷な運命を生き抜いた人がいるんだと知り、役者としてその人の人生を演じてみたいと思った。
「マイウェイ」は、たまたま戦争時代が背景だっただけで、戦争映画ではないですね。背景が戦争時代ですが、人間に重点を置いて描かれている。そして、日韓中とアジアの役者が集まって感情を表現し合い観客に伝える。これは凄い事だと思う。日本人と韓国人が敵として出会い、運命をともにする。観客の心に残る映画だと思う。
○自身が演じたジュンシクに関して
映画に出てくる戦争は、実際にあった戦い。登場人物たちは、戦争を経験する度に軍服が変わる。ジュンシクは、軍服や状況変わるは変わるけど、夢と希望は変わらない。戦争や背景は変わっても貫くものがあることを表現。辰雄は、戦争を経験するたびに、大きな変化をする戦争を全面に出すのではなく、戦いを経験するたびに変化する、人物の内面を表現している。
ジュンシク役について求められたのは、どんな状況であっても彼は希望と夢を失わない目をしてなければならないということ。撮影が辛すぎて、うまくできたかわからない(笑)。撮影していて、目の前で爆発するのをみると、これが本当の戦争だったら俺は死んでるなーと思うと怖いですね。ノルマンディー上陸作戦はよく知られている戦いですが、実際にラトビアに来て、ドイツの軍服を着て撮影してると、本当にその時代に、ここにいたらどうだったのだろうと深く考えさせられた。
○日本語での演技と、オダギリさんについて
やはり韓国語で演じる時よりも大変です。感情表現するにも、どうしても限界がある。でも、演技というのは言葉を交わすというより、感情を交わすことなので、そういう部分ではオダギリさんとすごく共感しながら演技ができた。辰雄役は、何人か候補がいたけど、絶対オダギリさんがいいって思った。日本と韓国の映画現場は色々違うと思うし、この映画は役者にとっても大変な現場だったのに、冷静に対応し、よく耐えていた。本当に素晴らしい役者。
■カン・ジュギュ監督 (代表作:「シュリ」「ブラザーフッド」)
「人間を心から理解し、愛するということを知るきっかけとなる映画になってほしい。」
○ラトビアでノルマンディー上陸作戦のシーンを撮った感想
シナリオ段階から、ノルマンディーのシーンをどこで撮影するか悩みだった。ロケハンを始めても条件の合う場所がなく、ニュージーランド、オーストラリア、プーケット、バルト海、地中海など全世界の海岸を調べたほど。そして運よくラトビアの海岸を見つけて、最初見た時は、「あ・・・ここはマイウェイのために存在するビーチだ!」と心から叫びました。
○キャスティング・配役について
一つの絵の中にジュンシクと辰雄を中心に置いて考えたとき、一番ドラマチックで興味深い展開になると思ったのが、オダギリジョーと、チャン・ドンゴンという、この二人だった。二人が結合した時、ー番ドラマチックで興味深い絵になると思った。
○なぜこの作品を製作したのか?
韓国と日本、そして中国。皆が戦争の被害者であり加害者。お互い未だに分かち合えず癒されない傷がある。その傷を癒すための過程や何かがもっと必要だと昔から思っていて、僕はたまたま映画を作る人間だったので、映画を通してそれをやりたいと思った。そしてそれがこの「マイウェイ」。「シュリ」も、「ブラザーフッド」も日本の観客にいっぱい愛してもらった。これから、次世代の若者が各国協力しあい、よいパートナーとして世界を担っていくために、私達、大人は若者達の為に何が出来るのかと考えた時、「ちょっと過去にさかのぼって振り返り、お互い理解し、向き合うきっかけ」を映画を通じてできるのではないかと思った。
○観客に何を感じてほしい?
誰かを恨み、憎むという感情のせいで、この世では喧嘩をしたり、戦争が起きます。心の中に、恨み・憎しみの対象がいる人には是非見てほしい。人間を心から理解し、愛するということを知るきっかけとなる映画になってほしい。
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これは、一枚の写真から始まった
真実の物語
1944年 第二次大戦末期。
ノルマンディー上陸作戦後、ドイツ軍捕虜の中に一人の東洋人が発見された。
誰一人として彼の話す言葉はわからない、
連合軍の尋問を受けた彼が語り始めたのは、信じられない物語だった・・・
彼らはなぜ、生き残る事ができたのだろうか?
1928年、日本統治下の朝鮮。
かたくなに国を信じた日本人と、まっすぐに夢を信じた朝鮮人。
決して交わることのない、憎しみ合う二人は、
運命のいたずらで日本、ソ連、ドイツと三つの軍服を着て戦うことになる。
いったい彼らに何が起こったのか?
そして、極限状態の中、彼らは何故生き抜く事が出来たのだろうか?
捕虜となり、戦いながら、アジアからノルマンディーまで12.000キロの旅で何を見たのか?
全てを失ってもまだ、生きる道“マイウェイ”を見失わない希望と感動の物語。
「マイウェイ 12,000キロの真実」2012年1月14日(土) 日本公開
公式サイト