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御年99歳、日本最高齢の新藤兼人監督作品「一枚のハガキ」。8月6日(土)からの公開に先立ち、昨日7月13日、有楽町朝日ホールにてプレミア試写会が実施された。本試写会には天皇皇后両陛下がお見えになり、監督とキャストへご挨拶された後、天皇陛下お一方で映画をご鑑賞になられた。
上映前に、ホール内ロビーにて天皇皇后両陛下をお出迎えした新藤兼人監督と豊川悦司、大竹しのぶ。まず、新藤監督から「天皇陛下、皇后陛下、本日はありがとうございます。私は、新藤兼人です。本日は、私の映画を観に来て下さりありがとうございます」と、感極まった様子で天皇皇后両陛下に挨拶。それに対して皇后陛下は、「ごめんなさいね、今日は最後までいることができず、せめてお祝いだけ申し上げたくて参りました。また、改めて観たいと思っています」とお答えになった。そして1999年に日本映画名作鑑賞会にて新藤監督の「裸の島」(60)を両陛下でご鑑賞になったこともあり、天皇陛下は「パンフレットの写真を見ますと、 『裸の島』を思い出すような二人の写真がありましたね。水桶を担いでいる」と前作をほうふつとさせるワンシーンについて新藤監督にお話された。
その後、ホール内にて行われた新藤監督、豊川悦司、大竹しのぶによる客席からの挨拶ののちに、ご臨席になられた天皇陛下は、「映画を撮るのは大変でしょう」と隣の新藤監督に語りかけられ、「天皇陛下は、毎日毎日忙しくて大変ですね」と返した監督に、「映画を撮る方が大変でしょう」とさらに天皇陛下が返されると、監督がこれに答えている間に上映がスタート。
上映後、新藤監督が「天皇陛下、ありがとうございました!」と力強く感謝の意を述べると、天皇陛下は「最後に救いがあるのがいいですね」とおっしゃり、新藤監督は「新しい日本に生まれ変わりました!」と答え、握手をかわした。映画のワンシーンのように感動的な光景に、会場からは惜しみない拍手が起こり、陛下ご退場後もしばらく鳴りやまなかった。
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「一枚のハガキ」ストーリー
戦争末期に召集された100名の中年兵は、上官によるクジ引きによってそれぞれ次の戦地が決められた。宝塚に赴任する松山啓太(豊川悦司)は、フィリピンへ赴任することになった森川定造(六平直政)に妻・友子(大竹しのぶ)からの一枚のハガキを託される。
―今日はお祭りですがあなたがいらっしゃらないので 何の風情もありません―
「お前が生き残ったら、このハガキは読んだと妻に伝えてくれ」と、啓太は定造から依頼された。
そして、終戦。100名の内、生き残ったのはたった6名だった。ハガキを書いた友子は夫の亡き後、次々と家族を失い、古い家屋とともに朽ち果てようとしていた。そんな友子のもとに啓太がハガキを持って訪ねてきた……。
原作・脚本・監督:新藤兼人
出演:豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政、大杉 漣、柄本 明、倍賞美津子、津川雅彦
企画・製作:近代映画協会
配給:東京テアトル
8/6(土)テアトル新宿、広島・八丁座にて先行ロードショー、8/13(土)より全国ロードショー