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5月23日(日)閉幕した第63回カンヌ国際映画祭、最高賞のパルムドールにタイ映画の「Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives」(ブンミおじさん)が輝いた。
パルムドールを受賞したアピチャッポン・ウィーラセタクン監督は、「私はいつも違う映画を作ろうと試みています。リミットを越えた映画、観客にチャレンジする映画を。映画をもっと伸ばすために。この作品が若い世代の人たちにあるインスピレーションを与えることができればと願います。今日、私たちみんなひとつの文化の中に存在します。私たちはみんな同じ方法でストーリーを語ります。今まだ、自分たちを表現できない少数文化もあります。映画は他の文化を理解するひとつの方法であると思います。」と、受賞のコメント。
審査員長のティム・バートンは、「私は彼の作品を見たことはありませんでしたが、審査員の何人かは彼の映画について知っていましたね。カンヌ映画祭で私が素晴らしいと思う点は、他で普通見られないような映画が見られるところです。この作品は怪奇幻想映画なのですが、私が見たこともない方法でさまざまな要素を使って創り上げられていました。」とコメント。
その他、グランプリはグザヴィエ・ボーヴォワ監督「Of Gods And Men」、監督賞はマチュー・アマルリック監督「On Tour」、審査員賞はマハマット・サレー・ハルーン監督「A Screaming Man」が受賞。
【パルムドール】
「LUNG BOONMEE PALUEK CHAT」 (UNCLE BOONMEE WHO CAN RECALL HIS PAST LIVES)
アピチャッポン・ウィーラセタクン監督/イギリス、タイ、フランス、ドイツ、スペイン/2010年
ブーンミーおじさんはひどい腎不全に冒され、田舎の家族のもとで終わりを迎えることにした。不思議なことに、死んだはずの彼の妻と失踪した息子の幽霊が現れ、彼を見守った。自分の病の理由についてじっくり考えながら、ブーンミーは家族とともにジャングルを通って丘の上にある洞窟まで出かけた。彼の最初の人生が始まった場所へ…
【グランプリ】
「DES HOMMES ET DES DIEUX」 (OF GODS AND MEN)
グザヴィエ・ボーヴォワ監督/フランス/2010年
アルジェリア山中のとある修道院、時は1990年代。8人のフランス人キリスト教修道士はイスラム教の修道士たちと共に平和に暮らしていた。しかし徐々にこの地に暴力と恐怖が根を下ろす。周囲の脅威が高まろうとも、修道士たちのその場に留まろうという決意は強まっていった・・・
【監督賞】
「TOURNEE」 (ON TOUR)
マチュー・アマルリック監督/フランス/2009年
元パリのテレビプロデューサー、ジョジャンは子ども、友人、敵、愛、後悔、すべてを捨て、40歳をゼロからやり直す気でアメリカに渡る。ところが彼はストリッパーのチーム「ニュー・バーレスク」を引き連れてフランスに帰ってくる。彼の夢はフランス、そしてパリでツアーをすること!町から町へ、ユーモアある出し物と女性たちの曲線美が男性だけでなく女性まで熱狂させる。安ホテルに陳腐な音楽、資金不足にも負けず、ストリッパーたちはファンタスティックで熱く盛り上がる奇抜な世界を作り出す。しかしツアーのフィナーレを飾るはずのパリのショーで、チームの夢ははかなく消える。ジョシャンの旧友の裏切りで、舞台が無くなってしまったのだ。パリへの帰還は彼の古い傷口をこじ開けてしまう・・・。
【審査員賞】
「UN HOMME QUI CRIE」 (A SCREAMING MAN)
マハマット=サレ・ハルーン監督/フランス、ベルギー、チャド/2010年
現在のチャド共和国。60代のアダムは元水泳のチャンピオンで、今はヌジャメナの高級ホテルで水泳のインストラクターをしている。ホテルが中国人オーナーに買収され、アダムは職を息子のアドベルに譲らなければならなくなる。このことにひどく腹を立てたアダムは、社会的な屈辱を覚える。国は内戦に苦しんでおり、反乱軍が政府を攻撃していた。政府は対抗して、国民に「戦争の準備」を呼びかけ、資金援助と、相手と戦える年齢の子どもを求めた。アダムは呼びかけに応じたため地区のリーダーから嫌がらせをされる。アダムにはお金もなく、頼れるのは息子だけ・・・。