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『家族のかたち』
ONCE UPON A TIME IN THE MIDLANDS 
配給:クレスト・インターナショナル、エレファント・ピクチャー
オフィシャルサイト:
http://www.crest-inter.co.jp/kazoku/
 


キャスト スタッフ データ
ロバート・カーライル
リス・エヴァンス
シャーリー・ヘンダーソン
フィン・アトキンス
キャシー・バーク
リッキー・トムリンソン
ヴァネッサ・フェルツ
ケリー・スレッシャー
アンドリュー・シム
監督、脚本:シェーン・メドウス
製作:アンドレア・カルダーウッド
脚本:ポール・フレイザー
撮影:ブライアン・テュファノ
編集:トレヴァー・ウェイト
   ピーター・ボストン
プロダクション・デザイナー:クリスピアン・サピス
衣装:ロビン・フライザー・ペイ
音楽:ジョン・ラン
2002年/イギリス/カラー/シネマスコープ/ドルビー・デジタル/1時間44分

イントロダクション
「ミッドランドを舞台とした笑って、ちょっと感動して、暖かい気持ちになる“イギリス映画らしいイギリス映画”」
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 “イギリス映画らしいイギリス映画”という括りが使われることがある。労働者階級(庶民派)の日常、「フフフ」と笑ってしまうユーモア、じんわりとくる感動などがミックスされた良質なドラマ(ミニ・シアター向きの作品ですね)をそういう具合に語ることが多い。例えば、イギリスを代表する監督であるケン・ローチやマイク・リーの作品、『フルモンティ』、『リトル・ダンサー』、最近では『カレンダー・ガールズ』なんかが“イギリス映画らしいイギリス映画”の代表である(こういう風に書くと“地味”という印象も出てきてしまうけど)。派手さはないけど、楽しめる、愛すべきハートフルなドラマといってもいいだろう。今回紹介する作品『家族のかたち』もそんな“イギリス映画らしいイギリス映画”である。
 ある家族参加テレビ番組に出演した家族と友人。その番組内で、子持ちの彼女に生活を共にしている男性がプロポーズをするものの、拒絶とは言わないまでも保留されてしまう。それを偶然、見ていたのが彼女の元旦那。彼女に未練を残す元旦那は、これをきっかけによりを戻そうと彼女の住む地に舞い戻ってくる、というのがこの作品の物語。当然、元旦那が戻ってくることで、とんでもない騒動が起こるわけだ。
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 監督はシェーン・メドウス。不良少年たちを更生させようとボクシングジムを描いた男の物語である劇場長編デビュー作『トゥエンティフォー・セブン』が1997年ヴェネチア国際映画祭国際評論家賞を受賞するなど大きな評価を獲得した監督である。その後、12歳の少年ロメオとギャビンがモレルという風変わりな年上の男と知り合うことにより、とんでもない騒動に巻き込まれていく様子を描いた2作目の長編作品『A Room for Romeo Brass』(日本未公開)も高評価を獲得している。今回の作品『家族のかたち』は彼の3作目の劇場長編監督作品である。これら3作に共通するのは、テーマは違っても“イギリス映画らしいイギリス映画”であることと、監督自身の出身地でもあるイギリスのミッドランドを舞台としていることだろう。監督自身は“ミッドランド3部作の最終章でもある”とするこの作品について「この作品を作ることで、僕自身も成長したが、これは成長の物語で、大人の感情に思いをめぐらせたものなんだ。最初の2作は批評家には評価されたけど、多くの人には観てもらえなかった。『トゥエンティフォー・セブン』はモノクロだったし、『A Room for Romeo Brass』は暴力の描き方で大ヒットする作品ではなかった。でも、この3部作は僕にとって“誓い”みたいなものなんだ。今後、色んな作品を撮ったとしても、忘れてはいけないことを記録として残しておきたかったんだ。ぼくはいつでもこの場所と人々にオマージュを捧げたい。そしてそれをこの3部作から感じてもらえれば嬉しいかぎりだ。」と語っている。自分が生まれ育ったミッドランドという地域に対する愛情、前2作とは違い観客を限定しないこの作品に対する思いが伝わってくる発言だが、監督自身が語るようにこの作品は誰が観てもそれぞれの気持ちで楽しめる一風変わった愛すべき家族たちの物語になっている。
 出演はイギリス映画を代表する俳優ロバート・カーライル、『ノッティング・ヒルの恋人』での変な同居人役が印象的だったリス・エヴァンス、『ひかりのまち』のシャーリー・ヘンダーソン、この作品が劇場長編デビュー作となる期待の新人フィン・アトキンスなど。
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 イギリスで実際に放映されているという人気TV番組「フェルツにおまかせ」、夜毎のパブやカラオケ、ビンゴに興じるシーンなどミッドランドの極々平凡な、でもちょっと変わった家族の日常を積み重ねながら、ロバート・カーライル演じる元旦那とリス・エヴァンス演じる今の彼氏との間による彼女(シャーリー・ヘンダーソン)の愛の行方を描いていくこの作品は、出てくる大人たちの駄目さ加減(特にロバート・カーライルとリス・エヴァンスの対照的な駄目さはいい味を出しています)が本当に素晴らしい。登場人物たちにはほとんどが駄目な奴ばかりなんだけど限りない愛情を抱いてしまいます。そして、カラオケのシーンやイギリス人なのにカントリーシンガーを生業とする親父の歌など音楽の使い方も最高です(「スタンド・バイ・ユア・マン」のシーンは何気ないのにすごく良かった)。観終わった後は、ほんわかと暖かい気持ちになれるこの作品『家族のかたち』。イギリス映画が好きな人、暖かいドラマが好きな人などの期待を裏切らない最高の作品になっています。ぜひ、劇場に足を運んでください。

ストーリー
「シャーリーを巡る今の彼氏と元旦那、その行く末は」
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 人気TV番組「フェルツにおまかせ」の人気コーナー“英国で最低の夫”に出演しているキャロルとチャーリーの夫婦。証言者として出演していた彼らの友人であるシャーリーとその娘のマリーン。本当は夫婦のどちらが悪いかを決めるはずだったのに、状況は突然変わり、シャーリーの恋人デックが花束を手に登場。シャーリーに対してプロポーズをしたのだった。もちろん、受け入れられるという前提があってのプロポーズのはずだったのだが、シャーリーの答えは「ノー」。シャーリーはデックとはこのまま一緒に暮らしていきたいと思っていたが、離婚の経験から再婚には躊躇していたのだった。
 その番組を偶然見ていたのが、シャーリーの元旦那のジミー。シャーリーと娘に対して未練を残している彼は、この番組を見て、自分のことが忘れられないんだろうと思い込み、一緒に強盗を働いた仲間の取り分までも持ち逃げし、シャーリーが住むミッドランドへとやって来る。目的はシャーリーとの復縁だ。もちろん、そんな彼に対して強盗仲間が黙っているはずもなかったのだが。
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