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『いつか読書する日』

配給:スローラーナー
オフィシャルサイト:
http://www.eiga-dokusho.com/
この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
田中裕子
岸部一徳
仁科亜季子
上田耕一
杉本哲太
鈴木砂羽
香川照之
渡辺美佐子
監督、原案:緒方明
プロデューサー:
  追分史朗
  畠中基博
原案、原作、脚本:青木研次
撮影:笠松則通
編集:矢船陽介
美術:花谷秀文
音楽:池辺晋一郎
2004/日本/カラー/35o/
ヴィスタサイズ/2時間7分


イントロダクション
「『独立少年合唱団』の緒方明監督が描く、30年以上の想いを押し殺しながら生きてきた女と男の大人のためのメロドラマ」
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  NHKの朝の連続テレビ小説『わかば』へのレギュラー出演、陶芸家として高い評価を獲得し、骨髄バンクの設立に尽力した女性  神山清子の半生を描いた作品『火火』での主演など役者としての活動が再び勢力的になってきた感のある田中裕子。そんな彼女の主演作がまたひとつ公開される。それが今回紹介する作品『いつか読書する日』である。
  『火火』では自分の求めた陶芸を再現するため、白血病に冒された息子の命を救うために気丈な態度で臨む芯の強い女性を見事に演じていた田中裕子だが、この作品『いつか読書する日』で彼女が演じるのは日々を淡々と過ごす50歳を過ぎても独身の女性である。『火火』の凛とした女性とは対照的に、ここでの田中裕子が演じるのは少女っぽさも持ち続けるひとりで生きていくことを決意した女性である。もちろん、この役柄も田中裕子の魅力が発揮された素晴らしいものとなっている。
  物語の舞台は長崎。ここで朝は牛乳配達を、日中はスーパーのレジ打ちとして働く女性が田中裕子演じる主人公である。夜はラジオに耳を傾けたり、読書を楽しんだりしながら過ごす彼女の日々は単調といえば単調、穏やかといえば、これ以上もない穏やかな日々である。そんな彼女にはずっと心に秘め続けていたひとつの気持ちがある。それはもう何十年も前に抱いていたある人への想いだった、というのがこの作品の物語である。秘め続けた想いが繋がっていくメロ・ドラマといえば、作品の端的な説明となるのだろうが、この作品が有するのはそういった部分だけではない。
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  田中裕子演じる主人公が想いを殺しながらも寄せ続けている相手は岸辺一徳演じる同じ町の役所に勤め続ける男である。彼は残りの命も僅かな妻を自宅で看病しながら、仕事を続けている。主人公がたまに身を寄せる小説家の女性は痴呆となり、放浪癖のある夫を看病し続けている。喜びも悲しみも乗り越え、病気の相手と寄り添い続ける夫婦というものがここには描かれている。それは想いを秘め続ける主人公とは対照的な生き方でもある。主人公もそういった人生を選び取る機会があったのだが、ある出来事がきっかけでそれを放棄してしまった。穏やかな生き方に見える彼女の人生の裏にはそうした毅然とした態度が存在しているのだ。しかし、彼女にはそれを疑問に感じ、押しつぶされそうになるときもある。そんなときに「私って、つまらない女ですかね」と呟いたりするのだ。こうした主人公の気持ちを田中裕子はふとした表情の変化で演じていく。この場面、場面での表情が本当に素晴らしい。
  出演は田中裕子、岸部一徳の他に、仁科亜季子、渡辺美佐子、上田耕一、香川照之などの実力派ベテラン俳優たち。もちろん、彼らの演技も本当に素晴らしい。
  監督はベルリン国際映画祭で新人監督賞を受賞した『独立少年合唱団』の緒方明。緒方監督は少年たちが主人公であった『独立少年合唱団』とは対照的に、何十年も生きてきた過去のある人を描きたいと考えていたという。また、舞台を監督の故郷である長崎としたことについては『独立少年合唱団』を契機に昔の友人と連絡がとれるようになり、長崎にも来る機会が増えたことから、ここで撮りたいという気持ちが生まれてきたという。
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  一言で表せば、人生を精一杯生きてきた本当に大人のための映画だと思う。先にも書いたように主人公はある出来事から自分の恋心を押さえつけ、その気持ちを殺しながら生き続けてきた。想われる側である病気のため先のない妻を看病し続ける男も実は彼女への気持ちを忘れられないでいた。男もそういった気持ちを消し去り「平凡に生きる」と決意して、やり抜いてきたのだ。彼らの初恋は自然に消滅したわけではなく、これからという時に彼ら自身とは関係のない事情により、不可抗力的に尻切れトンボのように終わってしまっている。そこの部分を引き摺りながらも彼らは同じ町であえて触れ合うこともなく、決意を持って暮らしてきたのだった。そういった経験はなくとも、それに近い部分を持っている人は多いのではないだろうか。ふたりのそういった関係は男の残りの命が少ない妻の存在と行動によって徐々に動き始める。男の妻からすれば、夫には全うすべき残りの人生があるということになるのだろう。そして、どんな状況であろうと暮らし続ける夫婦がいる。作品でその象徴となるのが小説家の女性と痴呆の夫だ。この作品が小説家が書き続ける物語、第三者の優しい視点としても語られているのはそういったことを考えると非常に印象深いものとなっている。
  一応、架空の町ということだが、舞台となる長崎は坂の町である。この坂が映像的にはもちろん、主人公が牛乳配達をするときの躍動感などを生み出している(フラットな町の牛乳配達だったら、全く違う印象を抱かせただろう)。作品にとって、この坂の町が最高の効果と印象も生み出している。
  若い世代よりも、より年齢を重ねた世代が大きな感銘を受ける作品だろう。最近の映画はテンポも速くてなどと思っている方にこそ観ていただきたい素晴らしい大人のための作品だ。ぜひ、劇場に足を運んでください。   

ストーリー
「ひとつの想いを抱きながら独身を貫いてきた女性、先のない病床の妻を見守る男性。ふたりの想いは30年以上を経て、交叉しあう」
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  中学校の教室でひとつの作文が読まれている。それは自分はずっとこの町で暮らしていくという内容であった。
  時はそれから30年以上も経ち、あの作文を書いた大場美奈子はその町で暮らしていた。朝は牛乳配達、昼はスーパーのレジ打ちとして働く彼女は独身のまま50歳をむかえていた。一生このまま生きていくと決意している彼女だが、時には母の友人であった皆川敏子の家でビールを飲みながら、ふと弱音めいたことを漏らすこともあった。敏子は痴呆症の夫を介護しながら、そんな彼女を温かく見守っていた。
  毎朝、彼女が牛乳配達をする坂の上の家には彼女の中学の同級生である高梨槐多が暮らしていた。彼は先の短い病床の妻を介護しながら、役所で働いていた。実は槐多と美奈子には隠された過去があった。そして、その過去を押し殺しながら、彼らは生きてきていた。
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