「完全管理された近未来の世界。そこで始まる許されない愛の物語」
近未来の世界。環境破壊が進んだこの世界では、完全に安全が保障された都市部と砂漠化した無法地帯に区分され、都市はその砂漠の間に点在していた。そして完全な管理社会でもあるこの世界では、居住者も無法地帯に暮らすもの、都市部に暮らすものと完全に区分けされ、都市と都市を行き来するには、パペルと呼ばれるパスポートとビザの機能を持つカードが必要である。そしてこのカードを持てるものは一部の人間だけだったが、新たな世界への渇望から違法発行も横行していた。
違法発行されたパペルの犯人を突きとめるために調査員のウィリアム・ゲルトがシアトルから上海に派遣された。会話を交わすことで犯人を突き止めることが出来るウイルスの服用をしている彼は、パペルの製造工場であらかじめピックアップした製造者との面接を行う。そこで出会ったのがマリア・ゴンザレスという女性だった。彼の服用したウイルスは、彼女が犯人だと共鳴するのだが、彼はその共鳴をなぜか無視してしまう。絶対にありえないであろう別の感情が彼の中に芽生えていたのだった。一方、この日、26回目の誕生日を迎えた彼女は運命の出会いを確信していた。 |