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黒澤明、フェデリコ・フェリーニとならび “20世紀最大の巨匠”と称されるイングマール・ベルイマンは、1918年スウェーデンに生まれる。2007年に世を去るまで、60年以上にわたるキャリアの中、「ファニーとアレクサンデル」「サラバンド」など、50本以上の傑作を発表し続けた。北欧の光と影を生かしたシャープな映像感覚と、人間の本質に迫るベルイマンの完璧な演出は、世界の映画人たちに大きな衝撃を与え、ウディ・アレン、スティーヴン・スピルバーグ、マーティン・スコセッシ、フランソワ・トリュフォーやジャン=リュック・ゴダール等ヌーヴェルヴァーグの作家まで、そうそうたる映画人たちが、ベルイマンから影響を受けたことを明かしている。
ベルイマン生誕95年となる今年、彼が50年代に監督し、映画人たちに絶大な影響を与えた “世界遺産的傑作群”と呼べる3作品「第七の封印」「野いちご」「処女の泉」をデジタルリマスター版で公開する。
ウディ・アレンが「最も好きで、最も影響を受けた映画」と語る「第七の封印」、アンドレイ・タルコフスキーがオールタイム・ベストの一本に挙げる「野いちご」、そして黒澤明監督の「羅生門」に強い影響を受けて誕生し、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞を受賞した「処女の泉」。
◆彼は友人であるとともに、私の人生で最も偉大な映画人だ。
―ウディ・アレン
◆僕はベルイマンの時代をくぐり抜けてきた。彼が作った作品は全て観ている。素晴らしいものばかりだ!
―スティーヴン・スピルバーグ
◆もし君が50〜60年代に、映画を撮りたいと志す青年だったら、ベルイマンに影響を受けない訳にはいかないよ!彼は世界中の、多くの映画作家にとって、強大な影響力をもつ存在だった。
―マーティン・スコセッシ
◆あなたの映画は常に、私の心を揺さぶった。作品の世界観を作り上げる巧みさ、鋭い演出、安易な結末の回避、人間の本質に迫る完璧な人物描写において、あなたは誰よりも卓越している。
―スタンリー・キューブリック(1960年、ベルイマンに宛てたファンレターより)
◆あれは18歳のときだった。「処女の泉」を観て、いままで味わったことのない衝撃を受けた私は、映画の道に進むことを決めたんだ。
―アン・リー
「第七の封印」(1956年)
☆第10回カンヌ国際映画祭審査員特別賞
舞台はペストが蔓延し世界の終末に怯える中世ヨーロッパ。十字軍の遠征から帰途についた騎士が、彼を追ってきた死神に自らの命を賭けたチェスの勝負を挑む。ベルイマンの名を一躍世界に広めたこの作品は、人生の意味を探る哲学的寓話とも呼べる傑作。ラストの“死の舞踏”をはじめ名場面の連続は、後世の作家たちに多大な影響を与えている。
出演:マックス・フォン・シドー、グンナー・ビョーンストランド、ニルス・ポッペ、ビビ・アンデショーン、ベングト・エケロート、オーケ・フリデル
「野いちご」(1957年)
☆第8回ベルリン国際映画祭 金熊賞
☆第17回ゴールデン・グローブ賞 外国語映画賞
☆1962年度キネマ旬報 外国語映画ベスト・テン第1位
人生の終わりにさしかかって旅をする老医師の一日を通じて、人間の老いや死、家族をテーマに、夢や追想を織り交ぜて描いたこの映画は、青春時代の失恋の思い出を“野いちご”に託した叙情的な一編。女性を描く名手であるベルイマンのミューズ、ビビ・アンデショーンとイングリット・チューリンが艶やかに競演。
出演:ヴィクトル・シェーストルム、グンナー・ビョーンストランド、イングリッド・チューリン、ビビ・アンデショーン、マックス・フォン・シドー
「処女の泉」(1959年)
☆第33回アカデミー賞 外国語映画賞
☆第18回ゴールデン・グローブ賞 外国語映画賞
☆1961年度キネマ旬報 外国語映画ベスト・テン第1位
アカデミー賞、ゴールデングローブ外国語映画賞をはじめ、数々の賞に輝くベルイマンの代表作。可憐な少女に起こった悲劇と、残された父親の痛烈な復讐を描いた本作は、名カメラマン、スヴェン・ニクヴィスト撮影による北欧の清らかな光と影のコントラストが絶品。黒澤明監督を敬愛するベルイマンが、「羅生門』に深い感銘を受け、その強い影響のもとに本作が誕生したエピソードも手伝い、我が国では今も多くの映画ファンに愛され続けている珠玉の名作。
出演:マックス・フォン・シドー、ビルギッタ・ヴァルベルイ、ビルギッタ・ペテルソン、グンネル・リンドブロム
[イングマール・ベルイマン3大傑作選]
7月20日(土)よりユーロスペースにて 4週間限定連日3作品ロードショー
特別鑑賞券1,200円 3回券3,000円(3回券はポスカセットつき!)
配給:マジックアワー