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「2001年宇宙の旅」(68)、「時計じかけのオレンジ」(71)、「シャイニング」(80)など革新的な映像で世界中の映画ファンを熱狂させてきた巨匠スタンリー・キューブリック。一般的に彼の長編映画デビュー作は「非情の罠」(55)とされているが、それ以前にも彼の公開作品があった。それが本作「恐怖と欲望」(Fear And Desire)である。
本作は少人数のキャスト&スタッフ、低予算で製作されたが、公開時は批評家などからは好評だった。しかし、本作の最大の不運は監督自身に忌嫌われてしまったことである。完璧主義者として知られるキューブリックは本作を「アマチュアの仕事」と、プリントをすべて買占め封印してしまったのだ。本作はキューブリックファンの間では”幻の作品”だったが、昨年2012年3月にニューヨークのリンカーン・センターにて行われた特集上映の中の一プログラムとして上映され、大きな話題となった。2013年現在、残されたプリントはわずか一本で、現在ニューヨーク・ロチェスターのコダック・アーカイヴに保管されている。
【ストーリー】 どこかの国で起こっている戦争。爆撃を受け敵地の森へ墜落した4人の兵士たちがいた。空軍の上官コービー中尉(ケニス・ハープ)、ベテランのマック軍曹(フランク・シルヴェラ)、若い新米のシドニー二等兵(ポール・マザースキー)とフレッチャー二等兵(スティーヴ・コルト)。彼らは森に沿って流れる河を、筏を作り下って脱出することを計画し、その対岸に敵軍のアジトを発見する。マック軍曹は奇襲をかけることを提案するが、コービー中尉に反対される。翌日、河で洗濯中の地元の女性(ヴァージニア・リース)に姿を見られた4人は彼女をベルトで木に縛り付け拘束する。女性の見張をしていたシドニー二等兵は女性に欲情し犯そうとするが、彼女は彼を振り払って逃げ出す。敵に知らされることを恐れたシドニー二等兵はとっさに腰につけた拳銃を抜き、彼女を射殺してしまうのだった・・・。
監督・製作・撮影・編集:スタンリー・キューブリック
脚本:ハロルド・サックラー(「非情の罠」「ジョーズ2」)
音楽:ジェラルド・フライド(「突撃!」「ルーツ」)
出演:ケニス・ハープ/フランク・シルヴェラ/ポール・マザースキー/スティーヴ・コルト/ヴァージニア・リース
1953年/モノクロ/4:3スタンダード/62分
2013年5月3日(金)、オーディトリウム渋谷 ほか全国順次公開!