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6月11日(土)の「テンペスト」公開を前に、主演女優のヘレン・ミレンとジュリー・テイモア監督から日本への敬意と、未来への祈りを込めたメッセージが届いた。
<ヘレン・ミレンから日本へのメッセージ>
非常に困難なこの試練の時における日本の方々の勇気と気高さに、私がどれほど深く心を動かされているかをお伝えしたいと思います。困難極まりないときにこそ、人間の本質が現れるものです。世界中が日本の方々の大きな苦しみを、深い悲しみをもって見守っていますが、同時にこれほど深遠な精神の崇高さを示す国民とその文化への尊敬の念は、日ごとに増すばかりです。
私はこれまでのキャリアの中で、シェイクスピア劇を数多く演じてきましたが、彼は人生というもののあらゆる様相を理解していました。以下は映画『テンペスト』の中で、私が演じるプロスペラの言葉の1つです。人生やこの世の無常を表現しているものです。
余興はもう終わりだ。
今の役者たちは、さっきも言ったように、みな妖精だ、そしてもう空気に溶けてしまった、希薄な空気に。
だが礎(いしずえ)を欠く今の幻影と同じように、雲を頂く高い塔、豪華な宮殿、荘厳な寺院、巨大な地球そのものも、そうとも、この地上のありとあらゆるものはやがて融け去り、あの実体のない仮面劇がはかなく消えていたように、あとにはひとすじの雲も残らない。
我々は夢と同じ糸で織り上げられている。
ささやかな一生をしめくくるのは眠りなのだ。
(ウィリアム・シェイクスピア「テンペスト」の一節/訳:松岡和子)
日本の方々はこの言葉を、今、誰よりも深く理解されるに違いありません。世界中の人々が愛と哀悼の意を捧げています。そして日本が強さと勇気と未来への決意をもって、この悲劇を乗り越えられることを確信しております。
ヘレン・ミレン
(*ヘレン・ミレンさんが引用したのは、『テンペスト』の主人公が、娘とその恋人の婚約を祝って妖精たちに演じさせた豪華絢爛な夢幻劇の終わりに言う台詞の一部です。幻が消えるのは当たり前ですが、シェイクスピアは、不動堅固に見えるものも実ははかなさにおいては幻に等しいと言っています。ミレンさんは、私たち日本人がこのたびの震災でそれを実感したことを思いやり、その実感を出発点として未来へ向かうだろうと励ましてくれています。 松岡和子/翻訳家)
<ジュリー・テイモア監督から日本へのメッセージ>
親愛なる日本の皆さまへ
この困難な時期において、日本の方々に心よりお見舞い申し上げます。
日本の皆様が美しい国を再建させるなかで、より絆を深め、心の平和を見出すことができますように。
心をこめて
ジュリー・テイモア