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7月30日、「日本のいちばん長い夏」の公開を記念し、「戦争を語り継ぐ」をテーマにトークイベントが行われた。登壇者は、原作者の半藤一利、今村均役で出演の富野由悠季。以下おもなトーク内容。
半藤: 「座談会を開いた理由は、当時次々と戦時中の関係者の訃報が届くようになり、このままでは戦争中の記憶が消えてしまうと痛感しました。そこで編集会議で座談会をやりませんかと上司に持ちかけました。当初は、35人に声をかけました。宮城派が不参加で28人になりました。場所は『なだ万』大広間。28人が一堂に会する座談会は私語もまじってわけわかんなくなっちゃうとか言われ、混乱が予想されましたが、延々5時間、誰もが静かに発言者の話を聞いていた。それだけ日本人全体が、いかにして戦争が終わったのか知らないんだなと思い知りました。やってよかったです」
富野: 「終戦時、陸軍大将・第八方面軍司令官としてラバウルに赴任していた今村均を演じました。10歳以上も年上のいとこが、ラバウル帰りでした。それが表向きの出演理由ですが、実際には僕が断ったら、現場が困るだろうなと思ったから。僕も製作者の立場だから、それくらいのことはわかります。敗戦の悲惨な戦史などを読むのは20歳のころにやめて、それから戦争を考えることを遮断してきたけれど、1年ぐらいまえから当時の軍人や民間人がなぜ戦争に参加したのか調べるようになっていたので、今回のお話はありがたかった。個人的には死ぬまでやる仕事が見つかった。語り継ぐことが大切だと実感しました。」
半藤: 「教えていた女子大の学生に、日本と戦争したことがない国を5択で答えさせたら、50人中13人が米国と答えて驚きました。このままじゃ何もなくなっちゃうと思った。互いに話し合ったり、伝え合うことをしていなかったということでしょう。世界に出ていく上で自分の国の歴史を知るのはとても大切なことです。戦争を語り継ぐべく、たくさんの本を書いてきましたが、日本がどういう国であったか、残していかないと消えてしまう。」
富野: 「ガンダムは、もともと戦争ものを作るつもりはなかった。巨大ロボットを"らしく"活躍させる場が戦場しかなかった。どうせ戦場を舞台にするなら、戦闘シーンだけじゃなく兵站(へいたん)もしっかり描こうと思いました。実は当時、海軍の上層部は兵站のことなんて、まったく考えていなかった。みんなマシンオタクの集まりだったんですよ。そうでなければ、あんなバカな戦争はできるはずがない。だから、アニメでも兵站くらい考えていると示したかったのです。」
●鑑賞後の観客の感想
・貴重な話が聞けた。語り継がれるべきテーマ。(50代 女性)
・施設にいる父に戦争の事を聞いてみようと思います。(40代 女性)
・学生に見てもらいたい。(30代 男性)
・知らない事実が沢山ある事に気づいた、これから勉強してみようと思う。(40代 男性)
・戦後の事ってあまり語られてないなと改めて思いました。(60代 男性)
「日本のいちばん長い夏」
8月7日(土)より 新宿バルト9、丸の内TOEI2ほか全国ロードショー