新着映画情報
4月10日(土)より公開の「幸福の黄色いハンカチ デジタルリマスター」、6月26日(土)より公開のアメリカ版「イエロー・ハンカチーフ」の公開を記念して、4月7日(水)、東劇にて山田洋次監督、武田鉄矢のトークショーと、「幸福の黄色いハンカチ デジタルリマスター」特別試写会が行われた。山田洋次監督と、武田鉄矢のツーショットは今日がはじめて。劇場ロビーに飾られた、“黄色いハンカチーメッセージボード”には、二人が黄色いハンカチに記入したメッセージカードが貼られ、東劇での公開終了後は、「幸福の黄色いハンカチ デジタルリマスター」の一部の上映館を巡り、各地から〔今、願っていること〕をテーマにメッセージを集めていく予定。
挨拶
●山田洋次監督
みなさんよく来て頂きました。デジタルリマスターはほんとにニュープリントと同じく綺麗になりました。楽しんでください。
●武田鉄矢
30年以上前のことですが、スターの高倉健さん、新鋭の女優桃井かおりさん、そして三流のフォークソングシンガーの私が頑張りました。私のある意味人生のスタートラインの作品です。注目の新人、武田鉄矢の怪演を楽しんで頂けたらと思います。
●司会
実は先ほど、高倉健さんから、速達でお二人に手紙が届きました。武田さん読み上げて頂けますか。
―以下、高倉健さんの手紙―
●武田読み上げる
山田監督、鉄矢君、34年前の撮影当時のことを色々と思い出しています。この年月を経て、また上映して戴けるのは大変うれしい事です。お二人の益々のご活躍とご盛会をお祈りいたします。
平成22年4月7日 高倉健
●武田
ほんと健さんてこういう人なんですよね。はらわたに染み渡るというか。
●司会
33年前、監督はどういう想いで、この映画を作られたんですか?
●監督
きっかけは、フォークソングの“幸せの黄色いリボン”。ぱっと、樫の木にいっぱいに結ばれた黄色いリボンが浮かんだんです。イメージがすぐに浮かぶものは、映画としてうまくいくと思ってます。
●司会
昨日(78年4月6日)は、第一回日本アカデミー賞の受賞日だったのですが、本作は見事8部門を受賞いたしました。武田さんも、最優秀助演男優賞を受賞されましたね。
●武田
まったくぱっとしないフォークシンガーだったんですけど、監督から「映画をやってみないか」といわれたときはほんとにうれしくてね。赤坂の一ツ木通りでお会いしたんですけど、この通りというのは、坂本龍馬が、勝海舟のお屋敷を通る道なんですよ。なので、監督が勝海舟に見えて(笑)、勝海舟の氷川神社にお参りに行きました。
●司会
そのときのプレッシャーは、ありましたか?
●武田
27歳の若造ですから、なんかあるぞと期待してました。ですが、撮影が始まったら大変。撮影は順撮りだったんですけど、最初のシーンが、洋品店でジャンパーを買うシーンなんですよ。こんなのすぐに終わると思って横着してたら、何度も何度も監督にNGだされて。終いには、本番のはずなのに、照明さんが照明消すんですよ(笑)大変な素人つれてきたなって、スタッフは絶望です。なんでかって、私はカチンコで動かなかったんです。監督が手招きしてくれると思ってて(笑)
●司会
監督は、演技経験のない武田さんをつれてきて、色々大変だったようですが、待つことの大事さみたいなことってありますか?
●監督
見込みのない俳優なんていっぱいいます。僕は絶望に襲われながらも待って(笑)、必ず出来ると信じて待っていないといけない。でも洋品店のときは、僕も大変だなーって思った。
●武田
僕が悪ふざけして、浜辺でジャンプをしながら桃井さんを撮るシーンがあるんですが、監督は怒らずに、「君はほっとくとすごいことするね」って言われました。とにかく監督から受けた注文もシーンも全部覚えてます。途中で下痢をするシーンがあるんです。コミカルなシーンをコミカルに演じると監督にあざとさを見抜かれるんです。そのとき渥美清さんを例に出されて、「喜劇は泣くように演じるものだ」とおっしゃられて。それから、僕が必死で演じてるシーンでも、健さんが笑うようになりました。
●司会
6月26日より公開になるアメリカ版の「イエロー・ハンカチーフ」ですが、作品ご覧になられていかがでしたか?
●監督
とっても私の映画をリスペクトしてくれて、真面目につくってるなと感心しました。以前にもこの映画で、ウェイン・ワン監督や、ジム・シェリダン監督などの名もあがり、リメイクの相談にきましたが、そういう監督達がリメイクを考えてくれるのはうれしい。
●司会
このたび、デジタルリマスターで公開となりますが、監督との出会いが武田さんにとって大きいですか?
●武田
ほんとに山田監督との出会いが大きくて。黄色いハンカチで山田監督から受けたことは、教科書のように諳んじて言えるくらい覚えてます。
●監督
健さん、桃井さんも3人ともだんだんと撮影が進むにつれて、成長していきました。スタッフもそうです。今まで、健さんはヤクザ映画専門の俳優のイメージでしたが、健さんなら出来ると思い、お話をしたんです。「やれますか?」と聞いたら、「やります」とお返事頂いて、健さんが踊るように帰られるのを見て、これなら大丈夫だと思いました。
●武田さん
監督から生きる術を学びました。異邦人3人が徐々に話し会うようになりました。健さんからは飲み過ぎた翌日は怒られまたりもしました(笑)
●司会
映画と実際の3人が重なるのが素敵ですね。では最後に一言づつお願いします。
●武田
『幸福の黄色いハンカチ』はある意味、自分の人生のスタートラインでした。この映画から学んだことは生涯忘れません。新人、武田鉄矢を是非楽しんでください。
●監督
33年前、この映画をつくろうとおもったときのことを思い出します。はじめは、フォークソングを聴いて樫の木のリボンのイメージがいいなーと思って企画が浮かんだ。単純ゆえに分かりやすい企画です。映画というのは、そういう形が一番いいと思ってます。時代がたって色々やり方も変わりますが、もう一度基本に戻るのもいいんじゃないかと思います。
―松竹新入社員による、花束贈呈&フォトセッション後、終了
劇場ロビーに飾ったメッセージボード内容
●監督
日本映画の未来に
“幸福”あれ 山田洋次
●武田鉄矢
愛を探す人に
黄色いハンカチひるがえれ 武田鉄矢