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この映画で、世界の現実を知って欲しい
豊かな島国日本にいては、遠い国の問題と思われがちな移民、そして難民問題。本作の公開を契機に「今、世界で起きている現実」から日本国内における移民・難民問題までも広く考える機会を設けるべく、フクナガ監督登壇による<シンポジウム付特別試写会>が2月10日、セルバンテス文化センター東京において開催された。
本作は、貧困ゆえに危険な旅を強いてでもより良い生活をもとめる移民の少女と、ギャングという組織の中でしか自分を守ることができない少年が織り成す感動のロードムービー。
自ら移民の中に入り取材を敢行、中南米が抱える移民問題と真摯に向き合い、中南米の“今”をリアルに伝えた本作のフクナガ監督に加え、シンポジウムにはNPO法人難民支援協会事務局長代行の石井宏明氏、MCとして、世界を股にかけ活躍するジャーナリストのシルビアさんが参加。
フクナガ監督:
「1つの列車の屋根の上に約700人乗ってホンジュラスからメキシコを経由、2つの国境を越えてアメリカを目指す移民たち」がいるという事実を知った時、興味を持ち映画にしたいと思った。
リアリティを追求する為、実在のギャングに40人以上会いに行き(映画の中にも登場する“マラ・サルバトルチャ”というギャング)、2つの刑務所にも行き、移民たちと同じ列車の上で何度も同じ旅をした。結果、膨大なデータを基に映画へと作り上げた。その結果、最終的に持った移民問題に対する見解は“アメリカに行ったからといって本当に皆は幸せになれるのかどうか分からない。”という現実。事実、失望してアメリカに行ってから帰ってくる人たちも居るし、差別的な扱いも受けている場合も多い。よりよい暮らしを求めて国境を越えた後のこの現実を、今後世界は考えていかなければならないかもしれない。
石井宏明氏:
アメリカの移民数は年間88万人だが、比べて日本は4〜50人である。日本では2年前に、“移民政策学会”が立ち上がったばかりだし、まずこの絶対的な違いの原因を考え、なんとかしなければならない。そして “日本人にとって移民は疎遠である”ということもよく言われるが、実は、イチローや松井だって“より良い生活・実力を発揮できる場所を目指して外国に発つ”という「移民という言葉の定義」を基に考えれば、彼らも移民と言っていいのかも?という解釈ができる。とにかく、この映画を通して、世界や日本で、“生きるために死ぬ思いをしなければならない”という人たちが数多くいる事を知って欲しい。