
ナチス・ドイツによって約56万人ものユダヤ人が殺害されたと言われるハンガリー。終戦後の1948年、ホロコーストによって家族を喪った16歳のクララは、ある日寡黙な医師アルドに出会う。彼もまた、ユダヤ人収容所から生還した一人だった。クララは父を慕うようにアルドを頼り、アルドはクララの新たな保護者となることで人生を取り戻す。だが、スターリン率いるソ連がハンガリーで権力を掌握すると、再び世の中は不穏な空気に包まれ、党に目をつけられた者たちが次々と連行されるなど緊張が増していく。そんななかクララとアルドの関係は、スキャンダラスな誤解を招いてしまう―。