小美(シャオメイ)は孤独な13才の少女。街は怪獣のようで彼女にとっては冷たく、感じるのは疎外感ばかり。家もそうだ。両親との間にも大きな溝がある。父と母の関係は行き詰まり、彼女は幻想の中に逃げ込むしかなかった。
彼女に寄り添うのは、街では青い象だったり、路地で出現する火を噴くドラゴンだ。小美は小さいときに山の中でお爺さんと過ごした日々を懐かしく思った。真っ暗な夜、湖面から見た輝くばかりの星空を。お爺さんはよく小美に言った。「寂しくなったら、星空を見上げるのだよ。世界はこんなにも大きい…」
ある日、小美は小傑(シャオジエ)に出会う。彼は問題を抱えた転校生だった。ふたりは説明のできない吸引力で引き寄せられ、夕陽の下で折り紙の動物たちと一緒に散歩をしたり、小傑が同級生からいじめにあっている時は、小美が火を噴くドラゴンになって彼を救った。現実の生活の中での難題は減らなかったけれど、ふたりは一緒にいることで世界を共有できた。
小美の両親はついに離婚という言葉を出し、ジグソーパズルのピースが崩れ落ちるように彼女の心が砕けた。勇気をふるい、小美は小傑と共に街を出ることにした。ふたりが向かったのは、小美がかつてやさしいお爺さんと過ごした山小屋。もう一度あの静かで純然とした星空を見るために…。ふたりは森林鉄道の列車に乗り、深い山奥へ入っていった。小美は列車の行く手にゴッホの描いた「星月夜」の絵が見えた。二人は森の中で迷子になったが、西瓜を運ぶトラックの荷台に乗せてもらい、雨が降ってきたので小さな教会で雨宿り。そして、山の中の湖で一緒に美しい星空を見た。
ようやくお爺さんの山小屋にたどり着いた時、小美は突然高熱に見舞われた。
小美が目ざめたとき、世界は全く変わっていなかった。ベッドのそばには心配そうな両親の顔。小傑は?彼の姿はどこにもなかった。小傑はもともといなかったかのように、小美の生活から消えてしまった。
でも小美は永遠に忘れない。あの夏、最も輝いていた、そして最も寂しい星空を…。
新着映画情報
シュー・チャオ |
監督:トム・リン(林書宇) |
2011/台湾・中国/シネマスコープ/99分/字幕翻訳:島根磯美 |
暗闇のなかで、君を見つけた。
彼女は素敵な美術品に囲まれ暮らしていた。だけど、美術商の両親は出張がちで離婚も秒読み。優しかった彫刻家のお爺ちゃんも死に、遂に居場所がなくなった。そんな時、スケッチブックを抱え街を彷徨う不思議な転校生に出逢った。子供と大人の世界の真ん中、心に傷を負った二人は旅に出る。あの寂しくて眩しい星空を見るために――。
台湾の国民的人気絵本作家ジミー・リャオのベストセラー『星空』を、「九月に降る風」(08)のトム・リン監督が映画化。主演は「ミラクル7号」(08)でのチャウ・シンチーの息子役が話題になったシュー・チャオ、そして映画初出演のリン・フイミン。本作は、2012年の大阪アジアン映画祭の特別招待作品として上映され大好評を博し、一般公開が熱望されていた。
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