1959年7月24日、外務省の中南米課のもとに1本の電話が入る。日本を訪問していたエルネスト・チェ・ゲバラらが急遽、広島へ向かったという。ほとんどの記者が興味を示さずにいたが、唯一地元の中国新聞社・森記者だけが取材に同行。ゲバラは、原爆ドームや原爆資料館などを訪れ、こう感想を述べるのだった。「君たちは、アメリカにこんなひどい目に遭わされて、どうして怒らないんだ」と。
それから数年後の1962年4月、ひとりの日系人青年がキューバの地に立っていた。愛する祖国ボリビアのため、医者になることを決意し、ハバナ大学の医学部を目指してやってきたフレディ前村である。20歳の彼は、ハバナ大への入学を前に、最高指導者フィデル・カストロによって創立されたヒロン浜勝利医学校で、医学の予備過程を学ぶこととなる。
1963年の元旦に憧れのゲバラが学校にやってきて、フレディは個人的に話しかけた。「あなたの絶対的自信はどこから?」。ゲバラは答えた。「自信とかではなく怒っているんだ、いつも。怒りは、憎しみとは違う。憎しみから始まる戦いは勝てない」。そんな矢先、母国ボリビアで軍事クーデターが起こり、フレディは『革命支援隊』に加わることを決意する。ある日、司令官室に呼ばれ、ゲバラから戦地での戦士ネームである、“エルネスト・メディコ”という名を授けられ、ボリビアでの戦いへと向かうのだった……。
新着映画情報
『エルネスト』
原題:Ernesto
配 給 : | キノフィルムズ/木下グループ |
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公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2017年10月06日 |
映画館: | TOHOシネマズ 新宿ほか全国ロードショー |
オダギリジョー |
監督:阪本順治 |
2017 /日本・キューバ/スペイン語・日本語/ビスタ/124 分 |
世界は、変えられる。
1967年10月9日、ボリビア戦線にて39歳の若さで命を落としてから、今年で没後50年を迎えるキューバ革命の英雄“エルネスト・チェ・ゲバラ”。革命家、反帝国主義のカリスマとして、また、革新を想起させるシンボルとして今もなお世界中でゲバラの存在は明確に息づいている。そんな彼の“意志”に共感し、ボリビアの軍事政権との戦いで、1967年8月に25歳の若さで散った実在の日系人、フレディ前村ウルタードの知られざる生涯を描く。メガホンを取るのは「人類資金」や「北のカナリアたち」などの阪本順治監督。フレディ前村を、阪本監督とは3度目のタッグとなるオダギリジョーが演じる。
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