タクシーがテヘランの活気に満ちた色鮮やかな街並みを走り抜ける。運転手は他でもないジャファル・パナヒ監督自身。ダッシュボードに置かれたカメラを通して、死刑制度について議論する路上強盗と教師、一儲けを企む海賊版レンタルビデオ業者、交通事故に遭った夫と泣き叫ぶ妻、映画の題材に悩む監督志望の大学生、金魚鉢を手に急ぐ二人の老婆、国内で上映可能な映画を撮影する小学生の姪、強盗に襲われた裕福な幼なじみ、政府から停職処分を受けた弁護士など、個性豊かな乗客達が繰り広げる悲喜こもごもの人生、そして知られざるイラン社会の核心が見えてくる―。
新着映画情報
ジャファル・パナヒ |
監督:ジャファル・パナヒ |
2015/イラン/ビスタ/5.1ch/82分 |
喜びと悲しみを乗せて
アッバス・キアロスタミ監督の愛弟子にして、「白い風船」で1995年カンヌ国際映画祭カメラ・ドール、「チャドルと生きる」で2000年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、「オフサイド・ガールズ」で2006年ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員特別賞)を受賞し、世界三大映画祭を制覇したイランの名匠ジャファル・パナヒ監督による最新作。政府への反体制的な活動を理由に、2010年より“20年間の映画監督禁止令”を受けながらも、監督自身がタクシー運転手に扮して、厳しい情報統制下にあるテヘランの街に暮らす乗客達の人生模様を軽やかに描き出し、見事、2015年ベルリン国際映画祭金熊賞及び国際映画批評家連盟賞をダブル受賞した。
©2015 Jafar Panahi Productions