中学生でプロ棋士としてデビューした桐山零は、東京の下町にひとりで暮らしている。春にしては蒸し暑い日、東京の将棋会館で、桐山零は義理の父で師匠の幸田に勝利する。9歳の時に交通事故で両親と妹を失った零を内弟子として引き取ったのが、父の友人の幸田だった。急に家を出て行った零を、幸田の子供たちが心配していると聞いた零は小さく呟く─「うそだ」。
育ての親を打ち負かした罪悪感から、具合が悪くなって夜道に倒れていた見ず知らずの零を、自分の家へ連れて帰り介抱してくれたのが、近隣の町に3姉妹で暮らす川本あかりだった。その日から始まった零と3姉妹の交流は、夏から秋へと穏やかに優しく過ぎて行った。
冬を迎えたある夜、零の部屋の前で義姉の香子が待っていた。家に帰っていないと言う姉に零は、妻のいるプロ棋士の後藤との関係を問いただすが、「あんたには関係ない」とはねつけられる。かつて香子と弟の歩とは共にプロ棋士を目指していた。最初は全く歯が立たなかった香子と歩を零が追い越した時、幸田は2人の子供にプロへの道を諦めさせる。荒れる香子を見て、零は家を出るしかなかったのだ。
新年を川本家で迎える零。楽しいお正月は、皆で初もうでに出かけた神社で、後藤と香子に出くわしたことで一変する。後藤を責めて反対に殴られた零は、もし獅子王戦トーナメントで零が後藤に勝ったら、家に戻るという約束を香子から取り付ける。
獅子王戦─それは、将棋界の最高峰を決めるビッグタイトルの一つ。タイトル保持者の天才棋士・宗谷と闘う挑戦者をトーナメントで決めるのだ。零がA級九段の後藤に当たるには、A級八段の島田を倒さなければならない。さらに幼い頃からのライバル、二海堂が「新人王になる」と宣戦布告した新人戦トーナメントも待ち受けていた──。
新着映画情報
神木隆之介 |
監督:大友啓史 |
2017/日本/138分 |
闘う、愛したい、生きる。
若き天才ともてはやされる17歳の将棋のプロ棋士、桐山零。しかし彼には、家も家族も居場所も──何もなかった。
羽海野(うみの)チカのベストセラーコミック『3月のライオン』を神木隆之介主演で、「るろうに剣心」シリーズの大友啓史監督が実写映画化。原作は現在も連載中のため、映画は誰も知らない最終章にたどり着く。羽海野チカが考えていた結末を受け取り、大友監督が紡ぎだしたラストとは──?
©2017映画「3月のライオン」製作委員会