1912年、ロンドン。劣悪な環境の洗濯工場で働くモードは、同じ職場の夫サニーと幼い息子ジョージの3人で暮らしている。ある日、洗濯物を届ける途中でモードが洋品店のショーウィンドウをのぞき込んでいると、いきなりガラスに石が投げ込まれる。女性参政権運動を展開するWSPU(女性社会政治同盟)の“行動”の現場にぶつかったのだ。それが彼女と“サフラジェット”との出会いだった。
同じ頃、女性参政権運動への取り締まりが強化され、アイルランドでテロ対策に辣腕をふるったスティード警部が赴任してくる。彼は歴史上初となるカメラによる市民監視システムを導入し、無関係だったモードもターゲットの1人として認識されてしまう。
やがてモードに大きな転機が訪れる。下院の公聴会で証言をすることになったのだ。工場での待遇や身の上を語る経験を通して、初めて彼女は“違う生き方を望んでいる自分”を発見する。けれども法律改正の願いは届かず、デモに参加した大勢の女性が警官に殴打され、逮捕された。そんな彼女たちを励ましたのが、WSPUのカリスマ的リーダーであるエメリン・パンクハーストの演説だった―。
新着映画情報
『未来を花束にして』
原題:Suffragette
配 給 : | ロングライド |
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公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2017年01月27日 |
映画館: | TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー |
キャリー・マリガン |
監督:サラ・ガヴロン |
2015/イギリス/シネマスコープ/106分/字幕翻訳:寺尾次郎 |
百年後のあなたへ
女性には投票権も親権さえも認められていなかった1912年のイギリス。ロンドンでは女性による参政権運動が先鋭化していた。原題の「Suffragette」とは、女性参政権論者(Suffragist)の中でも過激な活動家を示す。そのカリスマ的リーダーであるエメリン・パンクハーストは、平和的な抗議が黙殺される現状に“言葉よりも行動を”と呼びかけた。
実話を基にした本作は、階級の垣根なく結束し、権利を求めて立ち上がった女性たちを描き出す感動作。主人公は、夫と息子の3人で慎ましく暮らす、洗濯工場勤めのモード。7歳から過酷な労働に従事している彼女にある時、生まれて初めての疑問が生じる。“別の生き方があるのではないか?”と。愛する我が子には自分とは異なる人生を歩んでほしい。その一心で声を上げ、やがて凛々しく変貌していくモードを若手演技派の筆頭キャリー・マリガン(「17歳の肖像」)が演じている。実在の人物パンクハーストにはメリル・ストリープ(「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」)が扮し、圧倒的な存在感を放つ。
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