容疑者リザ30歳。独身。歌うユーレイと同居中ー
1970年代のブダペスト。元日本大使未亡人マルタの専属看護士として住み込みで働くリザの心のよりどころは、日本の恋愛小説と、リザにしか見えないユーレイの日本人歌手、トミー谷。孤独な毎日を軽妙な歌声で元気付けてくれるが、リザは恋愛小説にあるような甘い恋に出会うべく、30歳の誕生日に未亡人に2時間だけ外出許可をもらう。だが、その間にマルタが何者かに殺害されてしまう。悲しみにくれるリザの周辺で、次々と起こる奇怪な殺人事件。彼女が恋した人は“死者”となり、そこにはキツネの影が…。そんななかリザに疑いの目を向け、刑事ゾルタンが下宿人を装いやってくる。しかし、リザに殺人の気配はみじんもない。いったい誰が真犯人なのか…?