時は天保十二年(1841)。老中水野忠邦の、世に言う“天保の改革”の真っただ中。質素倹約令の発令により庶民の暮らしに暗い影が差し始めた頃のこと。幕府公認の縁切寺として知られる鎌倉の東慶寺には、離縁を求めて女たちが駆け込んでくる。ここは尼寺。生き地獄から抜け出す女たちの最後の砦、言わば避難所である。
さて、駆込みには作法がある。東慶寺門前で意思表示をした後に、まずは御用宿で聞き取り調査が行われるのだ。見習い医者でありながら、駆出し戯作者の信次郎は、そんな救いを求める女たちの身柄を預かる御用宿・柏屋に居候することに。柏屋には、主人の源兵衛、番頭の利平とその女房のお勝らが毎日忙しく働いている。いつか曲亭馬琴のような戯作を書きたいと思っている信次郎にとって、ここは資料の宝庫、人間を知る絶好の場所だった。ある日、顔に火ぶくれを持つじょごと、お吟が東慶寺に現れる。寺を目指す道中で二人は出会い、足に怪我をしたお吟をじょごが大八車に乗せて一緒に駆込んできたのだった。早速、柏屋で聞き取り調査を行うことに・・・。
新着映画情報
大泉洋 |
監督:原田眞人 |
2015/日本/143分 |
泣いたあとには、笑いましょうよ。
国民的作家、井上ひさしが晩年11年をかけて紡いだ時代小説『東慶寺花だより』を原案に、「クライマーズ・ハイ」「わが母の記」の原田眞人監督が映画化、初めて時代劇に挑戦した。現代の2倍あったと言われる江戸時代の離婚をモチーフに、縁切寺に駆込んでくる女たちが様々な出会いと別れを繰り返しながら明るく逞しく生きる姿を描くとともに、江戸時代後期の人々の暮らしや文化をも活写した。主人公、中村信次郎を演じるのは大泉洋。夫の暴力から逃げてきたじょごに戸田恵梨香、豪商・堀切屋の愛人お吟に満島ひかり、そして、三代目柏屋源兵衛という、男名を持つ手練れの離縁調停人には名優、樹木希林。
©2015「駆込み女と駆出し男」製作委員会