1987年、日本人医師・航一郎は大学病院からケニアの研究施設に派遣される。アフリカ医療に生涯を捧げたシュバイツァーの自伝に感銘を受け医師を志した航一郎にとって、それは願ってもいないチャンスだった。しかし、それは恋人との長い別れも意味していた。父の跡を継ぎ、女医として離島医療に従事する貴子を遠く日本に残さなければならなかったのだ。
理想を胸に研究と臨床の充実した日々を送っていた航一郎は半年後、現地の赤十字病院から1か月の派遣要請を受ける。物見遊山のつもりで赴いた彼は、重傷を負って次々と運ばれてくる少年が、みな麻薬を注射され戦場に立たされた少年兵である事実に愕然としながらも、この病院への転籍を志願する。 過酷な状況ながらも生き生きと働く航一郎は、医療団からの信頼も厚かった。一方、同病院に看護師として派遣されてきた和歌子は、確かなスキルと手際の良さで、航一郎と時折ぶつかりあいながらも互いに認め合っていく。そして、心に傷を抱えた少年たちを「オッケー、ダイジョブ」と温かく包み込む航一郎は、いつしか少年たちの良き友であり、師となっていた。そんなある日、病院に少年兵・ンドゥングが担ぎ込まれる。 彼は銃傷よりも、両親を目の前で惨殺され、麻薬でかき消された心の傷が甚大だった。航一郎は、そんな彼の心の闇に真正面から向かっていくのだが・・・
新着映画情報
大沢たかお |
監督:三池崇史 |
2015/日本 |
遥か遠いケニアの大地――愛する人たちへ捧ぐ「命の賛歌」
1987年にさだまさしが発表した楽曲『風に立つライオン』。アフリカのケニアで国際医療活動に従事した実在の日本人医師をモデルに作られたこの曲は、日本に残してきた恋人に宛てた手紙を歌にのせ、壮大なスケールで綴る名曲。そんな同曲に惚れ込んだ俳優の大沢たかおが、小説化・映画化を熱望したことから、今回のプロジェクトがはじまった。メガフォンをとるのは、大沢たかお主演の映画「藁の楯」を大ヒットに導いた、鬼才・三池崇史監督。
©2015「風に立つライオン」製作委員会