この世には目に見えない魔法の輪がある。
杏奈は幼い頃に両親を亡くし、養父母とともに暮らしている。あることがきっかけで周りに心を閉ざしてしまった杏奈は、悪化する喘息の療養のため、養母の親戚が暮らす海辺の村へ旅立つことになった。それが、杏奈が経験したひと夏の不思議な出会いの始まりだった・・・。
海辺の村の誰も住んでいない湿っ地屋敷。
杏奈の前に現れたのは、青い窓に閉じ込められた金髪の少女・マーニーだった。
「わたしたちのことは秘密よ、永久に。」
杏奈の身に次々と起こる不思議な出来事。時を越えた舞踏会。告白の森。崖の上のサイロの夜。ふたりの少女のひと夏の思い出が結ばれるとき、杏奈は思いがけない“まるごとの愛”に包まれていく。