その男が現れ、「オペラを歌います」とあいさつした時、客席からは失笑がもれ、審査員たちは困惑した表情を見せた。2007年、英国の大人気オーディション番組ブリテンズ・ゴット・タレントでのことだ。容姿もパッとしない地味な身なりのケータイ販売員が、華麗なるオペラ『トゥーランドット』の名曲『誰も寝てはならぬ』を歌うというのだから、当然かもしれない。だが、その歌声が天に放たれた瞬間、会場は静まり返り、そしてすぐにどよめきに変わり、歓声と拍手が鳴りやまず、涙をぬぐう人さえいた。それが、一夜にして世界的オペラ歌手へと転身した、ポール・ポッツの、痛快なる奇跡の逆転劇だった。
子どもの頃は、デブで歯並びの悪い典型的なイジメられっ子。大人になっても、恋人も友だちも持てない、冴えないケータイ電話販売員。彼の名はポール・ポッツ。シャイで謙虚、自信の欠片も持てずにきた彼の、誰にも言えない夢は「オペラ歌手」になること。数々の挫折を繰り返すも、恋人ジュルズという初めての理解者を得、背中を押され、夢の舞台に一歩ずつ近づいて行くポール。遂に憧れのパヴァロッティの前で歌う機会を得るが、「君はオペラ歌手にはなれない」と一蹴され、すっかり自信を喪失する。しかし、愛する妻や友達の励ましに、くじけそうな勇気を奮い立たせ上がった最後の舞台、オーディション番組。緊張に体が震え、何度も逃げ出したくなるポール。ステージか非常口か──迷うポールに、運命を分けるメールが届く──。
新着映画情報
ジェームズ・コーデン |
監督:デヴィッド・フランケル |
2013/イギリス・アメリカ/103分 |
その歌声に、世界は息を飲んだ──
冴えない自分に自信が持てなかった男が、一夜にして世界的オペラ歌手へと転身した、ポール・ポッツの、痛快なる奇跡の逆転劇。一大センセーションを巻き起こした、英国のオペラ歌手の波乱に満ちた半生を、「プラダを着た悪魔」の監督デヴィッド・フランケルと「最高の人生の見つけ方」の脚本家ジャスティン・ザッカムが、『誰も寝てはならぬ』『アヴェ・マリア』などの名曲にのせて描く感動の実話。
© 2013 ONE CHANCE, LLC. All Rights Reserved.