![ストーリー](http://www.movienet.co.jp/images/movie_icon_story.gif)
雷鳴がとどろく雨嵐の早朝、3千もの兵に取り囲まれた利休屋敷。太閤・豊臣秀吉の命により、今まさに希代の茶人・千利休は自らの腹に刃を立てようとしていた。死に向かう夫に対して妻・宗恩がたずねる。「あなた様にはずっと想い人がいらっしゃったのでは…」その言葉が、利休の胸中に秘められた、遠い時代の記憶を蘇らせていく。
かつて利休は織田信長の茶頭として仕えていた。信長にまで「美は私が決めること」と豪語する彼の絶対的な美意識は、やがて信長家臣の秀吉をも虜にする。信長の死後、天下統一を果たした秀吉の庇護のもと、“天下一の宗匠”として名を馳せる利休。しかし、その名声はしだいに秀吉の心に渦巻く“むさぼり”に火をつける。愛する者を奪われ、立場が危ぶまれていく利休。「残るあやつの大事なもの…」利休がひた隠しにする、彼に美を教えた“何か”。秀吉が執拗に追い求めるその秘密は、青年時代の利休の記憶に隠されていた。
若かりし頃、利休は色街に入り浸り、放蕩の限りを尽くしていた。そんなある日、高麗からさらわれてきた女と出逢う。その気高き佇まいと美しさに、一目で心を奪われた彼は以来、かいがいしく女の世話を焼き、心を通わせていく。しかし女は一国の王への貢ぎ物であり、それは叶うはずない恋。やがて別れの時を目前に迎えた夜、利休の情熱が、ある事件を引き起こす。はたして、その先に利休が見たものとは……。