昭和21年(1946年)1月14日―終戦から、わずか5ヶ月後のその日、鉛色の空を切り裂いて、一機の飛行機が佐渡島にある高千村の海岸に不時着した。それは、イギリス空軍の要人機《ダコタ》であった。真っ先に駆けつけたのは、海を見渡せる丘の上から、その光景を目にしていた森本千代子だった。
イギリス空軍のパイロットたちは、上海の英国総領事を東京まで送る途中で悪天候に見舞われ、やむなく不時着したのだという。つい半年前まで敵国であり、その戦争で家族を失った者や、帰らぬ息子を待つ者など、さまざまな想いを胸に抱く島民たち。しかし、千代子の父親で村長の新太郎は考えあぐねた末に、「困った者を助けるのが、佐渡ん人間(さどんもん)」という、この土地に根付く精神に従って、《ダコタ》が飛び立つまでの間、イギリス兵たちを自分が営む旅館に迎えることにした。はじめは警戒していた彼らも、千代子をはじめとした島民たちの温かいもてなしに、次第に打ち解けていく。一方、兵学校での事故がもとで出征することなく村に戻っていた千代子の幼なじみの健一は、英語の通訳をという千代子の頼みも無下に断り、一人殻に閉じこもっていく。
島民たちとイギリス兵たちが力を合わせ滑走路づくりに励む中、健一は親友・義春の戦死報告を受け取り、《ダコタ》が義春の死んだビルマ戦線でイギリスの将軍専用機だったことを知る。そしてある夜、健一は遺書めいた書置きを残し一人海岸へと向った・・・。
新着映画情報
比嘉愛未 |
監督:油谷誠至 |
2013/日本/109分 |
その島が選んだのは、憎しみか、日本人の誇りか
昭和21年1月14日。太平洋戦争の終結からわずか5ヶ月後。佐渡島の小さな村に、イギリス軍の要人機《ダコタ》が不時着した。はじめは、驚き、戸惑う、村民たちであったが、やがてイギリス兵との間に国境を越えた友情と絆を育み、《ダコタ》をふたたび大空へと飛び立たせていく。これは、67年前にあった真実の物語である。主演には、連続テレビ小説「どんど晴れ」でヒロインを務め、「ハンチョウ〜警視庁安積班〜」シリーズなどで活躍する比嘉愛未と、大河ドラマ「平清盛」に出演、「ふがいない僕は空を見た」では、ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、高崎映画祭最優秀助演男優賞に輝いた窪田正孝。
©「飛べ!ダコタ」製作委員会