フランス西海岸に浮かぶ小島、モンサンミシェル。アメリカからやって来た作家志望のニールは、そこでマリーナと出会い、互いに深く愛し合う。10代で結婚し娘のタチアナをもうけたマリーナは、ほどなくして夫に捨てられ、いまや望みを失いかけていた。そんな彼女を闇から救ったのがニールだった。
2年後、彼らはアメリカへ渡り、オクラホマの小さな町バードルズルで暮らしていた。ニールは故郷にほど近いこの町で、作家になる夢をあきらめ、環境保護の調査官として働いている。マリーナにとって、そこはとても穏やかな場所だった。愛さえあれば他に何もいらないと思った。前夫と正式な離婚手続きをしていないため、決してニールと結婚できなくても。ニールはタチアナを実の娘のように愛し、タチアナもまた彼によくなついた。しかし、故郷から離れたその土地で、タチアナは友だちに恵まれずいつもひとりだった。彼女はマリーナに言う「もうフランスへ帰ろう」
カトリック教会の神父、クインターナは救いを求める人々に布教を行っている。町の人々に溶け込み、皆から親しまれるクインターナ。マリーナもニールとの関係を相談しに、彼のもとを訪れていた。しかし、クインターナは苦悩を深めていく。神はどこにいるのか? なぜ神は自分の前に姿を現さないのか?彼はかつて持っていた信仰への情熱を失いかけていた。
ニールの心もすっかり冷えかかっていた。マリーナとの間には諍いが絶えず、タチアナには「パパ気取りはやめて」と非難される日々。滞在ビザが切れるため、マリーナはタチアナを連れてフランスへ戻ってしまう。マリーナがいなくなった後、ニールは幼なじみのジェーンと関係を深めていく。傷を負ったふたりは瞬く間に互いを強く求め合った。だがその頃、マリーナはタチアナに家出され、フランスでの生活に耐え切れずにいた。責任を感じたニールは、マリーナをアメリカへ呼び戻し、結婚のための手続きを進める。ジェーンはニールのもとを立ち去っていった。
遂に結婚を果たしたニールとマリーナ。しかし、マリーナの強く激しい愛を、ニールは受け止めることができずにいた。ニールは、信仰の前で葛藤するクインターナと同じように、愛とは何かを深く考えていた。愛は感情か? 愛は義務か? それとも命令なのか? ニールとマリーナはやがてそれぞれの選択を下すことになる――。
新着映画情報
『トゥ・ザ・ワンダー』
原題:To the Wonder
配 給 : | ロングライド |
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公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2013年08月09日 |
映画館: | TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー |
ベン・アフレック |
監督・脚本:テレンス・マリック |
2012/アメリカ/英語・仏語・西語・伊語/シネマスコープ/5.1ch/112分/字幕翻訳:丸山垂穂 |
この幸せな時間は永遠に続くのだろうか? “愛の移ろい”を映し出す残酷で切ない愛の物語
2011年、「ツリー・オブ・ライフ」で第64回カンヌ国際映画祭<パルムドール>を受賞したテレンス・マリック監督最新作。40年を越えるキャリアのうち監督作はこれまで6本と寡作ながら、そのひとつひとつが芸術作品としての高い完成度を誇る巨匠のもと、ハリウッド屈指の俳優たちが贅沢な共演を果たしている。本作で主人公ニールを演じるのは、自ら監督・主演した「アルゴ」でアカデミー作品賞を受賞し、名実共に今後の映画界を担う中心的存在となったベン・アフレック。ニールが恋に落ちるマリーナには、「オブリビオン」のオルガ・キュリレンコ。ニールが愛するもうひとりの女性、ジェーンに扮するのは「ミッドナイト・イン・パリ」のレイチェル・マクアダムス。そして、「ノーカントリー」「007 スカイフォール」のハビエル・バルデムが、信仰の前に葛藤するクインターナ神父を演じる。
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