![ストーリー](http://www.movienet.co.jp/images/movie_icon_story.gif)
昭和初期の神戸。洋服の仕立屋を営み、柔軟な考えを持ち、家族を温かく見守る父親・盛夫。大きな愛で家族を包む母親・敏子。そんな両親のもと、好奇心旺盛に育つHこと肇。そして妹の好子。幸せに暮らしていた4人だったが、H一家の周りでも、近所のうどん屋の兄ちゃんが政治犯として警察に逮捕されたり、召集令状がきたオトコ姉ちゃんが入隊せずに脱走して、憲兵に追われるなど、徐々に不穏な空気が漂うようになっていく。
やがて戦争がはじまり、軍事統制も厳しさを増し、おかしいことを「おかしい」と自由な発言をしづらい時代となっていく中、盛夫は、周囲に翻弄されることなく、「おかしい」「なんで?」と聞くHに、しっかりと現実を見ることを教え育てる。
中学校に入ったHを待っていたのは、軍事教練ばかりが続く毎日だった。盛夫は消防署に勤めるようになり、敏子は隣組の班長に、そして好子は田舎に疎開することになるなど、戦況が不利になるにつれ、それぞれの日常が激変してゆく。ついに神戸も大空襲に襲われ、終戦を迎えたとき、街は見渡す限り焼け野原になっていた。その中で、神戸も日本も新しく生まれ変わろうとする。そして、Hの一家も、小さいが確かな一歩を踏み出していく―。