口うるさい母親や学校に問題児扱いされているロレンツォは、単独行動を好む14歳の少年だ。あらゆる世間のしがらみから解き放たれたいと願う彼は、秘密の計画を実行に移す。学校のスキー合宿に参加すると母親に嘘をつき、自宅のあるアパートメントの地下室にこもって一週間を過ごすつもりなのだ。食料も寝床も暖房も確保されたその空間には、ロレンツォの大好きな本と音楽、そして誰にも邪魔されることのない静寂が完璧に揃っていた。ところがロレンツォの至福の時間は、2日目にして意外な闖入者にかき乱されてしまう。美しくも奔放な異母姉オリヴィアが転がり込んできたのだ。こうして波乱含みで始まった孤独な姉弟の“共同生活”は、ロレンツォの内に潜む思いがけない無垢な感情を呼び覚ましていくのだった…。
新着映画情報
『孤独な天使たち』
配 給 : | ブロードメディア・スタジオ |
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公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2013年04月20日 |
映画館: | シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー |
ジャコポ・オルモ・アンティノーリ |
監督:ベルナルド・ベルトルッチ |
2012/イタリア/シネマスコープ/ドルビーデジタル/97分/字幕翻訳:岡本太郎 |
想い出に変わる頃に気付く、かけがいの瞬間(とき)―。
過激なテーマ性とめくるめく魔術的な映像美学に貫かれた「暗殺の森」(70)、「ラストタンゴ・イン・パリ」(72)などで映画史上特筆すべき衝撃と陶酔を観る者にもたらし、壮麗なる歴史大作「ラストエンペラー」(87)ではアカデミー賞10部門を制したベルナルド・ベルトルッチ監督。「ドリーマーズ」(03)以来、長らく創作活動が途絶えていたこのイタリアの巨匠が、ついに映画界への完全復帰を果たした。
「ドリーマーズ」発表後、重い病に苦しむはめになったベルトルッチは、一時は引退さえ覚悟したが、車椅子とともに生きる自らの現実を受け入れたことで映画作りへの意欲が再燃。そんなときガブリエレ・サルヴァトレス監督作品「ぼくは怖くない」(03)の原作者でもあるニッコロ・アンマニーティの小説に触れ、「読んで、たちまち恋に落ちた」というベルトルッチは、迷うことなくその映画化を決意した。かくして完成した10年ぶりの新作「孤独な天使たち」は、ベルトルッチが30年ぶりに母国のイタリア語で撮った映画であり、くしくも監督デビュー作「殺し」(62)から50周年の節目を飾るメモリアル作品となった。音楽にも特別なこだわりを見せるベルトルッチ監督は、本編のエンディングにデヴィッド・ボウイが英語で歌う『スペイス・オディティ』を使用しており、この「宇宙に向かっていく」ことを歌ったオリジナル版と、「孤独な少年よ、どこへ」と歌ったイタリア語版の歌詞が少年の心情の変化と見事に呼応し合っている。