遠間憲太郎はカメラメーカーの営業局次長として働くサラリーマン。妻とは離婚しており、20歳になる娘と一緒に暮らしていた。ある出来事をきっかけに、取引先である「カメラのトガシ」の社長・富樫との間に友情が芽生える。50歳を過ぎてから新たにできた友人の存在に最初はとまどっていたが、富樫のまじめかつ寛大な性格に親近感を抱き、心を通わすようになる。互いに本音を語り合う中で、二人はこれからの人生をどう歩んでいくのかを模索していくようになる。
そんな折、二人は母親に虐待され心に傷を負った4歳の幼い少年・圭輔と出会う。他人になかなか心を開かない圭輔だったが、遠間が密かに想いを寄せる陶器店のオーナー・貴志子には自然になつき、次第に遠間たちにも打ち解けるようになる。だが圭輔は、将来へ不安を残すほどの大きな傷を抱えていることに変わりなく、そのことに遠間たちは心を痛めていた。ある時、遠間は富樫の店で不思議な写真と出会う。草原に椅子がぽつんとある、ただそれだけの写真なのになぜか心に突き刺さった。その写真に心を動かされた遠間たちは、圭輔や自分たちの生きる道を探すため、「世界最後の桃源郷」と呼ばれるフンザへと旅立つ決意をする。広大無辺の大地を目指した旅の果てに、それぞれが手にするものは―。
新着映画情報
佐藤浩市 |
監督:成島出 |
2013/日本/139分 |
日本から世界最後の桃源郷、フンザへ。それは、希望へ旅立つ物語。
宮本輝の同名原作を「八日目の蝉」「聯合艦隊司令長官 山本五十六」の成島出監督が映画化。原作者の宮本輝は、1995年の阪神・淡路大震災で家を喪ったことをきっかけに、震災から半年後にシルクロード6千700キロ、40日間に及ぶ苛酷な旅を体験。何もない荒涼とした大地を前に人の生き方などについて考え、“人間力のあるおとな”を描こうと本作を執筆した。映画化にあたっては、 設定を2011年の東日本大震災以後の東京へと変更し、実現不可能と思われた“世界最後の桃源郷”と呼ばれるパキスタン・フンザでのロケを実現させた。
© 2013「草原の椅子」製作委員会